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リスナーの愛で生まれた番組グッズの数々! ラジオ愛が引き起こす嬉しい「想定外」/中山知紗【#ネクストクラフトパーソンズ】

「これからのTBSラジオ」を担うスタッフの実像に迫るインタビュー企画「#ネクストクラフトパーソンズ」。

今回登場するのは、TBSラジオUXデザイン局事業部で働く中山知紗さんです。

TBSラジオのフェス「ラジフェス」や「RADIO EXPO~TBSラジオ万博~」といったイベント運営をはじめ主催公演の企画制作、TBSラジオが後援する舞台などの宣伝や番組グッズ制作まで幅広い業務を担当されている中山さん。これまで携わってきたグッズの誕生秘話や、仕事を通して感じたリスナーさんの「ラジオ愛」について話を聞きました。


イベント運営からグッズ制作まで、TBSラジオの“なんでも屋さん!?”


現在私が働いているのは、基本的に“放送外収入”にまつわる事業をおこなう部署です。“放送外収入”というのは、スポンサー収入を除く収入のこと。たとえば、映画・舞台・コンサートの主催公演、番組関連のイベントや番組グッズなどの企画・制作などがあります。

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ラジオ番組の音声を貸し出すなどの権利管理や、名義後援といってTBSラジオが後援する舞台などの事業宣伝もおこなうなど仕事は多岐に渡ります。ラジオ広告で「TBSラジオ後援の舞台」と宣伝しているのもその一例です。つまりは、TBSラジオの“なんでも屋さん”ですかね(笑)。基本的に私たちの仕事は、人やモノを“繋げる”接着剤のような役割だと思っています。


発売から2年経っても大人気。「生活は踊る」リスナーと一緒に作り上げたトートバッグの思い出

イベント運営にしてもグッズ制作にしても、仕事の進め方はケースバイケース。1から10まで任されるものもあれば、8まで設計された状態で、完成に必要な2だけを任されることもあります。そこはこの仕事の大変なところでもあり面白さでもあります。

例えば、番組側でグッズの内容はある程度決めていて、原価の設定や仕入れ先、いつどこで販売するかを決める段階で、私たちの部署に相談がくることも。私たちはそれを受けて、「この値段に設定しましょうか」「このイベントで売りましょう」と提案して一緒にグッズを完成、発売していきます。

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『ジェーン・スー 生活は踊る』の企画で生まれた「Laify(ライフィ) 大人のしっかりトートバッグ」も番組先行型のグッズです。このトートバッグはリスナーさんの声を取り入れて作られました。持ち手が2WAY仕様だったり、内ポケットの色を明るくしてバッグの中を見やすくしたりと、リスナーさんから寄せられた意見が反映されています。

この企画が降りてきた2018年当時は異動したてで、右も左も分からない状態。社内調整をどうすればいいかなどたくさん奔走しました。

そうして発売に漕ぎつけたこのバッグは、すぐに初回生産分を遥かに上回る数の注文が入り、急遽予約販売に切り替えることになりました。2019年に発売してもう2年経ちますが、今でも売れ続けている人気商品です。このトートバッグはしっかりした素材で使いやすい反面、税抜1万2000円と決して安くはない価格帯。それでも「リスナーさんと番組が一緒に作った」というストーリーがあるからこそ、いまだに売れ続ける力があるのだと思っています。


リスナーの愛で作られた「かまタク」「たまむすび」のグッズの数々


「Laify」のようにリスナーさんを巻き込んでグッズが生まれることは、決して珍しくありません。『かまいたちのヘイ!タクシー!』(通称「かまタク」)のグッズも、愛あるリスナーさんのご協力があってできたものです。

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たとえば、こちらの番組ステッカーに描かれたかまいたちの山内健司さんと濱家隆一さん、そして「かまタク」の作家兼運転手の森下さんのイラスト。これを描いてくださったのは、プロのイラストレーターをされているリスナーさんです。その方はよく放送内容をイラストに描いてSNSに投稿してくださっていて。その投稿を見た番組側から「グッズのイラストを描いていただけませんか?」とお声掛けし、グッズ化が実現しました。

このイラストを用いてつくったステッカーとTシャツが「かまタク」で最初に発売したグッズなんです。そのきっかけは、2020年に開催したTBSラジオの大型フェス「RADIO EXPO」でした。このイベントでTシャツ100枚とステッカー若干枚を発売することが決まっていましたが、当時かまいたちさんのグッズ販売は『アメトーーク!』の「グッズ売れ残り芸人」に出演されるぐらいで、その……苦戦されていて(笑)。「どうせ売れ残るだろうから、100枚もいらない」と尻込みされていたのですが、結果はなんと即完でした。

またその数ヶ月後には、靴下屋さんで働いているリスナーさんから「かまタクで靴下どうですか?」という持ち込みがあって、イラスト入りの靴下の発売が実現。

その後、番組プロデューサー内田寛之さん(当時)の「番組でウエストポーチとマスクを作りたい」という旨のツイートを見たリスナーさんから「弊社でぜひ!」という連絡があり、ファッションマスク専門店「Mask.com」とコラボしたオリジナルマスクが発売になりました。
さらにその後、リスナーでもあったネットショップ「STORES」さんより「かまタクショップ」のオープンのスポンサードもいただいたり……。こんな風に、番組とリスナーさんのコラボでグッズが実現することって、意外と多かったりもします。

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『たまむすび』の卓上カレンダーの出演者の似顔絵風イラストを描いてくださったのも、デザイナーをされている『たまむすび』リスナーさんなんです。他にも、エレ片コントライブでのグッズイラストも、プロのイラストレーターをされているリスナーさんに描いていただきました。
こんなふうに愛を持って協力してくださるリスナーさんのおかげで、これまでいろいろなグッズが実現しているんです。そう考えるとリスナーさんの愛にはかなり甘えてますね。番組リスナーさんが描いてくださるイラストからは、番組への深い愛を感じられるのも大きな魅力。リスナーさんなくして、グッズは作れません(笑)。


木梨憲武さんから好評だったアイテムとは? 番組イベントでは嬉しい「想定外」も

昨今は開催が難しくなってしまいましたが、過去にはリアルイベントでお客さんがグッズを身につけてくださっているのを見られるのが、やりがいの1つでした。

これまで運営に携わってきたとんねるず木梨憲武さんの『土曜朝6時 木梨の会。』のイベント、エレ片のコントライブのイベント当日もそうです。会場で番組のオリジナルグッズを実際に身につけてくださっているのを目にして、すごく嬉しくなりました。

2020年12月にパシフィコ横浜・国立大ホールで開催された『木梨の大音楽会。フェスってゆー!!』では、番組オリジナルマスクを発売しました。お客さんが会場でマスクをつけて、ライブを思いっきり楽しんでいる様子を見たときにもグッときましたね。またそのマスクは、ありがたいことに木梨さんご本人も気に入ってくださっているとお聞きして、とてもうれしかったです。

ちなみに、かまいたちのおふたりも「かまタク」のスマホケースを使ってくださっていて、それがテレビやYouTubeで映ったことでも話題になりました。ご本人に使ってもらえるのは、私たちにとってもやりがいですし、リスナーさんにも喜んでいただけていたらいいなと思います。

最近は、SNSで番組ハッシュタグなどをつけて投稿してくださっているグッズの写真が励みになっています。Twitterなどはスタッフみんなチェックしてるので、グッズを持って撮った写真などは、ぜひ積極的に投稿してもらえたらうれしいです!

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もう1つ、この仕事のやりがいであり魅力だと思うのが、ラジオならではの距離感です。ラジオはリスナーとの距離が近いメディアと言われますが、その身近さや番組への愛がグッズの高い購買率にも現れているように思います。

特にそれを実感したのが、『たまむすび』の放送2000回を記念した「たまむすびすごろく」の無料配布イベント。過去におこなった1000回記念のイベントの来場者は1000人くらいだったので、そのときは「2000枚用意していれば大丈夫だろう」と予想していたんです。

でも開始時刻になったら、平日の真昼間にも関わらず、赤坂サカスにどんどん人が流れ込んできて、ちょっとしたパニック状態に……。結果、事前にシュミレーションしていた導線や整理人数ではさばききれず、「すみません! みなさん降りてきてください!」と社内にいたみなさんを呼んで、手伝いに来てもらいました。(その節はリスナーの皆様にご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。)

ラジオに携わっていると、そんな風にいい意味で予想を上回る、想定外な出来事が起こることがあるんですよね。


自分の原点を胸に「どうしたらリスナーに喜んでもらえるだろう?」を突き詰めたい


突拍子もない話に聞こえるかもしれませんが、わたしの今の仕事の原点には、「劇団四季のライオンキングに出たい」という学生時代の夢がありました。

その夢に挫折(!?)した大学2年生の頃「大好きな世界で何かしたい」と応募をしたのが、女子大生スタッフだけでつくりあげていくというラジオ番組企画。その番組の公開イベントに携わったことが今の仕事を選ぶきっかけになりました。

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学生の頃は「舞台に立ちたい」「目立ちたい」という気持ちが大きかったのですが、今は、表方も裏方もあまり関係ないと思っています。

ときにはラジオの名物プロデューサーや作家さんが表方として出ることもあるように、何かを一緒につくるときの役割がたまたま表だったり裏だったりするだけなんだと。それに、表方か裏方のどちらか一方が秀でていても、もう一方がダメだったらダメになってしまいます。つまりは、どちらも同じくらい大切なんですよね。

また、舞台を見に通っていた自分がいるからこそ「自分だったら何が嬉しいだろう?」「どんなグッズが欲しい?」「何が喜んでくれるだろう?」と、突き詰めて考えることにもつながっているように思います。

私はラジオという媒体を通して、それこそ舞台のような芸術と出会う機会だったり、グッズのようなモノだったり、人と人だったり、いろんなものを繋ぐことができればと思っています。これからもTBSラジオの“何でも屋さん”のひとりとして、ラジオをさらに盛り上げていきたいです。

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中山知紗/2015年にTBSトライメディア(現・TBSグロウディア)に入社後、2016年より「ラジフェス」事務局を3年担当。2018年よりTBSラジオUXデザイン局事業部の業務を行う。現在はエレ片(エレキコミックと片桐仁によるユニット)のコントライブ、『ジェーンスー・生活は踊る」『たまむすび」『かまいたちのヘイ!タクシー!」『土曜朝6時 木梨の会。」他番組グッズやイベントの企画・制作、LINEスタンプ、名義後援、など幅広い仕事に携わる。

Photo:飯本貴子 Writing:市川茜 Edit:ツドイ
(こちらはTBSラジオ「オトビヨリ」にて2021年12月28日に公開した記事です https://www.tbsradio.jp/articles/48764/)