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世界を広げ続けてくれる存在/池田園子【連載エッセイ「わたしとラジオと」】

インフルエンサーや作家、漫画家などさまざまなジャンルで活躍するクリエイターに、ラジオの思い出や印象的なエピソードをしたためてもらうこの企画。今回は、編集者の池田園子さんに、ラジオとのその深い間柄についてお聞きしました。

どんなものでも「きっかけ」は人からもたらされると私は思う。
事実、TBSラジオもある人から勧められて聴くようになった。ある人というのは元夫だったのだけれど、彼が長年リスナーだという『バナナマンのバナナムーンGOLD』を入口に、いつしかTBSラジオに漬かっていた。2012年頃の話である。

まずは『森本毅郎・スタンバイ!』や『荻上チキ・Session』の前身番組『荻上チキ・Session-22』でニュースや時事問題をキャッチし始めた。ラジオの話とは逸れるけれど、2016年からプロレスを観るようになったのは、チキさんの番組で紹介された新書『プロレスという生き方』(三田佐代子著、中公新書ラクレ)がきっかけである。

2015年には誰から教えてもらったのか、今となっては定かではないけれどPodcast時代の『東京ポッド許可局』を聴き終えて、大人男性3人組のゆる鋭いトークにハマり、ラジオも視聴し始めていた。

2014年か2015年には、『ジェーン・スー 生活は踊る』の前身番組『週末お悩み解消系ラジオ ジェーン・スー相談は踊る』に結婚生活に関するメールを送り、投稿が採用されたこともある。

全国に自分のしょうもない話——スーさんは「のろけじゃん(笑)」と噴いていて、Twitterのタイムラインには温かいコメントもあれば、ダークなものも並んでいた——が流れ、顔の見えない知らない人たちが聴いている……という手応えに、文字通り心臓がドキドキバクバク、暴れていたのを今でも鮮明に覚えている。

2021年現在、Google Homeに「ねえGoogle、TBSラジオつけて」とお願いすると、31年続く超長寿報道番組『森本毅郎・スタンバイ!』がかかり、私の朝はTBSラジオで始まる。前日のストレートニュースをキャッチするために聴き続けているのだ。

家事やからだのケアをするような、耳だけが空いている時間には前出の番組に加え、『問わず語りの神田伯山』や、ここ最近とくに注目している『田中みな実 あったかタイム』をradikoのタイムフリーで聴く。

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Google Homeでは現在放送中の番組を、MacBookではタイムフリーでradikoを聴く

田中みな実という、アナウンサーであり、女優であり、美容研究家ともいえるような、唯一無二のポジションを築いている、自分と同い年のとても美しい女性に、私は興味を持っている。なにより、自分の情報をネットに残さない、ミステリアスなところに惹かれる。

みな実さんは写真集発売時に期間限定で開設していたInstagramを除くと、SNSをやっていない。自身が出演したテレビ番組やプロデュースした商品発表会での発言、インタビューが記事化される機会は多いものの、みな実さんの“生感”ある近況やエピソードは『あったかタイム』という番組でしかすくいとれないと言っても過言ではないだろう。

・(たしか、ホフディラン・ワタナベイビーさんゲスト回にて)夕食後にお腹は満たされているのに、煎餅を食べずにはいられなかった時期があり、今よりも体重が重たかった
・(おぎやはぎ・小木博明さんゲスト回にて)小木さん宛に完成した写真集を送ったところ、「ありがたいけど(娘もいるので)困る」と言われた
・(同)交際している男性との間に気になる問題が浮上すると、「話そっか」と切り出すクセがあるといい、小木さんから「その言い方は怖い」と評された
・交流のある西野七瀬さんが自宅に遊びにくると、「久しぶりに帰ってきた彼氏みたいで、いろいろしてあげたくなる」らしい

高い美意識とはズレた行動をしたり、曲がったことを許さず生真面目に立ち向かったり、年下の可愛い女の子にキュンとしたり……みな実さんの振れ幅の広さ、完ぺきな人に見えるのに、人間味あふれる姿を見せてくれる『あったかタイム』は、みな実ウォッチャー必聴番組である。

そんなみな実さんのプロデュースした「ガードル」が10月に発売となり話題だ。美容情報を常日頃からアップデートしているみな実さんだが、ガードルに興味を持つようになったのは、下着美容研究家の湯浅美和子さんを番組のゲストに招いたのがきっかけだったという。

私もガードルを穿くようになった。当然ながら『あったかタイム』がきっかけになっている。

ある人をきっかけにTBSラジオを聴くようになり、TBSラジオのさまざまな番組をきっかけに観始めたものや聴き始めたもの、手に取るようになったもの、習慣になったもの・ことなどが、自分のなかに蓄積され、世界が拡張していく。

その心地よさがクセになっているから、この先も私はTBSラジオを好きでいるのだろうと思う。

(完)

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いけだ そのこ/1986年、岡山県生まれ。編集プロダクション「プレスラボ」代表取締役。編集者。東京を拠点とし、月の1/3はパートナーの住む大阪で暮らす。楽しく、ほがらかに生きるためのアイデアを考えるのが趣味。

llustration:stomachache Edit:中前結花 ツドイ

(こちらはTBSラジオ「オトビヨリ」にて2022年1月11日に公開した記事です)