レコードの価格について思うこと(はじめに)

僕は今から20年くらい前に大阪でレコード屋をやっていた。自分でやる前もレコード屋に勤めていたから、12〜3年くらいレコード屋だった。その間には色んなムーブメントが起こっては消えていった。DJがレコード盤じゃなくて、CDを使えるようになり、パソコンでDJが出来るようになっても、レコード盤は無くならなかったし、それどころか今では一番価値があるフォーマットみたいだ。

僕が最初に働いた店では輸入盤の仕入れを全て一人で担当していた。何を何枚取るかはそれぞれのバイヤーが決めるのだけれど、それをどこから仕入れるかが僕の仕事だった。

当時、イギリスでは99pでシングルが販売されることがよくあった。当時の為替レートは忘れたけど、たぶん99pは160円くらいだ。僕はニッチな音楽がポピュラリティを得る為に、音楽は出来るだけ安く手に入るべきだと思ってたから、常に流通の源流を探し、日本に入ってきにくい限定盤を仕入れる為にロンドンのレコード屋に電話して取り置きしてもらったり、現地に行ったときには卸してもらう交渉をしたり、
レーベルから直接仕入れて、国内の流通を担ったり、仕入れに関しては色々やっていた。曖昧な記憶で申し訳ないけど、僕が一番安くつけた7”の価格は380円だ。たぶんTeenage fanclubだった気がする。もしくはもう名前も忘れてしまったBrit popのバンドかもしれない。微々たるものだが、ちゃんと利益もある。今のことはわからないけれど、当時、イギリスでは毎週月曜日に新譜がリリースされていた。安く早く店頭に並べたかった。月曜日の13時にはその週の新譜を並べたかった。並べたところで平日のそんな時間にお客さんが沢山来てくれるわけじゃないけど、出来るだけ早く、出来るだけ安く、僕が好きな音楽を広めるにはそれが大前提だと信じていた。

7”はワンコインで買えるのが理想だったけどなかなかそれは実現できなかった。だいたい690円から890円の間だった。12”は1000円前後、LPはアメリカ盤なら1600円から2000円、イギリス盤なら2000〜3000円の間が適正価格だと思っていた。昔話で恐縮だけれど(ここにある話は全て昔話しだけれど!)忘れもしないSupergrassの1st LPを300枚仕入れて1480円で売り切った。同業者が店頭価格を近づけてくれないかと交渉に来ることもあったけど、頑なに断った。

続きます。

#レコード

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