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吸音仕上げギャラリー(5)

 ファミレス、ファストフード店、フードコートなどの空間は、良く言えば「にぎやか」、悪く言えば「うるさい」音環境であることが多いですね。
多くの会話が飛び交い、店内放送も流れているため、このような空間では発生音が大きいですが、埃や汚れが付きにくく、音を反射する材で仕上げられていることがほとんどだからと考えられます。

 そんな店舗が多い中、天井が吸音仕上げとなっているファストフード店を見つけました。学生さんなどでほぼ満席で、BGMも流れていましたが、特有の喧騒感がなく、まるで落ち着いたティールームのようでした。心無しか、お客さんも声量を落として話しているような気もします。

喧騒感の少ない某ファストフード店

天井をクローズアップするとこんな感じです。

天井の吸音材(ベージュの部分が吸音)

 石こうボードに四角い孔をあけ、裏に特殊なシート材を裏打ちした吸音材です。ボード材の裏に空間があると、吸音効果を発揮します(空間がないと吸音効果はなくなってしまうので注意!)。また、別の記事で紹介したロックウール化粧吸音板(岩綿吸音板)と違って、パネルの表面を塗装しても吸音性能が落ちないのも利点です。


吸音材の構成


 海外では飲食店で吸音を推奨するガイドラインが発行されている国もありますが、日本はまだそのような風潮は薄いですね。今回ご紹介したファストフード店全店で吸音材が使われているわけではないようですが、不特定多数の方がさまざまな目的で利用する空間として、吸音が店舗計画のスタンダードになってくれるといいなと思いました。

(いや、落ち着いた音環境になりすぎると顧客回転率が下がってしまうという側面もあるかもしれませんので、営業戦略にもよるかもしれませんね。)


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