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Ver.2

所謂SSRIと呼ばれる薬のお世話になることになった。

(私個人の一例である。話半分に聞け。わざと分かりづらく書く。)

以前の記事で「大丈夫」と言っていたが、まあ全然大丈夫ではなかった。
病院の待合室に座る。いつもの病院ではない。新患の受診をいくつも断られ、「3ケ月後なら…」と受け入れてもらった。
3ケ月待ってハズレの先生だったらまた振り出しだよな~~とドチャクソ不安だった。が、結論イイ先生だった。
薬を服用する基準。海外の論文。「(薬品名)は女性にはイマイチ」「NaSSAは社会人にはちょっとね~」「「眠気」」
おうおう、こういう話をしたかったんだよ。「眠気」のハモりでこの先生は信用できると思った。
話し合いを進めていくと、どうも私の訴えを聞く限りではSSRIを服用するほどではなく(確かに毎日働けている)、離脱症状等デメリットの話をされた。安易に薬を処方しない先生なんだな~と感心した。
それでも「もうベンゾで騙し騙し生きるのは…何というかお先真っ暗というか…限界です」と言った。ヘラヘラ伝えたが誰にも相談できないくらいには悩んでいた。
「飲み始め1週間はムカムカ吐き気がするよ。それを乗り切ると不安を感じなくなっていくかな」
本当はSSRIなぞ飲みたくなかった。嘔吐恐怖がある自分にはこの頻度の高い副作用、胃腸障害を受け入れ難く、ずっとまともな治療をせずごまかしてきた。
「でもまあ~吐くまではないかな」う~ん。この先生好きだぞ。


病院を出てからはハイだった。3ヶ月待ったかいがあった。ギターの弦を交換したり、シャニマスをプレイしたり。謎のエネルギーに満ち溢れていた。
しかし、夜は薬を飲まなくてはいけない。1週間吐き気と闘うのか…。眠気・不眠どっちが来るか…。副作用寝太郎で仕事に行けなくなったらどうしよう。
いつ吐いてもいいようにベッドの横にゴミ箱をセットした。抗がん剤並みの手厚さ。
…朝目覚める。最高血中濃度に近いはずだ。吐き気は、ない。不安という感情、消滅する。
これはまぁまぁありえないことである。でもだいたいのことは"メンタル"で片付く私には経験がある。薬物動態をぶっ飛ばす、プラセボ人間だからだ。
例を挙げると、吐き気止めは10秒で効く。薬剤師なので薬が最高血中濃度に達する時間を知っている。10秒はありえない。有効成分が溶けだしてすらいない。
メンタル的に安心すればなんでも効くのだと思う。乳糖で大抵の不調を治せる気がする。俺が学んできた薬学とは。

話は戻る。起きている間ずっと纏わりついていた不安がサッと消えていた。週末明らかに人手が足りない仕事のことも「まあいいか」と思っている。
代償もある。吐き気はないが、食欲もないことに気付く。「食べる必要性を感じない」と表現するのが正しいだろうか。てか食欲だけじゃない、"欲"がないんだ。
良くも悪くも感情がフラット。低空飛行。感情がフラットすぎて「感情がフラットだなあ」と思った。"無"に近い。こわ。
この日は前もって夏休みを取っていたので(貴重な夏休みを副作用回復に充てる健気さよ)、1日ソファで無気力に過ごした。
まあでも正直、感情がただただフラットなだけなのでその後は普通に仕事に行った。怒涛の患者が押し寄せた日も、普段ならブチ切れ息切れ動悸吐き気に悩まされるところだが、「ヤバいすね!」で乗り切った。ヘラヘラしている。
そうか、皆はこんな風に不安を感じずに生きてきたのか。すげえな。特に根拠のない楽観という思考が芽生える。
これはアップデート、いやこの変わりようはアップグレードか。ささじまVer.2の爆誕である。こんな米粒みたいな錠剤1つで人格が変わるのかよ。


とりあえず働くのには申し分ないほどの不安の消失は見られた。多分。
じゃあ船で世界一周できるかと言ったら無理だと思う。飛行機にも乗りたくねえし。
そして不安と共に消えた感情はどうなるのか。突出した喜怒哀楽の"怒"を原動力として生きてきた私はどうなるのか。キレキャラを手放すことには抵抗がある(キレキャラなんて良くないが)。
感動とか興奮とかあまり感じなくなるんだろうか。ちなみに元々性欲がないので困らないがこれはマジで性欲なくなる。
まあ、今心配してもしょうがないしね~。
食欲は服用後2週間を前にして急に戻ってきた。体重40キロを切るとそれはそれでしんどいからな。体重を減らさないためだけに食う飯は美味しくない。
ていうか、不安とか不安じゃないとかなんだっけ?最初は「不安なくて怖~~w」ってヘラヘラしてたけどよく分からなくなってきたぞ。
結局薬を飲んで良かったのかどうなのか。
今後の細やかな良アプデを求む。