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りんごの草木染め

 りんごの草木染め

 青森は、りんごの名産地として知られている。10代の僕は、しばしば青森へ訪れた。あるとき、お土産で購入したりんごの葉染めブックカバーがある。このブックカバーは、文庫本サイズで絞りの模様が表紙についているのであるが、文庫本を収めるには、幅が余りすぎだ。あるとき、口語訳の聖書につけたところ、その厚みにカバーがピッタリと収まった。それから、あたたかみのあるこのカバーを愛用している。ところで、りんごとは、原罪を象徴する果実らしい。りんごのブックカバー、いかがなものであろうか。

 日曜日

 子どもの頃、日曜日は、教会という意識がなかった。日曜日は、父と会って公園や釣り堀などでよく遊んでいた。基督者の祖父は、保証人となって借金を肩代わりすることが多かったようだ。父曰く「人の借金を返すために働いていたようなものだ」と。しかし、一族は、皆膨大な負債を抱えており、借金のとりたてもしばしばあった。神の許しは、一度きりだ。それまでに多くの罪を許していた人は、賢いものとされ、また、一度許されたものは、多くの罪を赦すことができる。だからこそ、こう祈る。「我らに負債のあるものを我らが赦すごとく、我らの負債をも許したまえ」

 飛行場

 戦争中、青年期の祖父は、飛行場で訓練をしていた。婚約者の祖母は、毎日フェンス越しにそれを見ていたそうだ。出立する直前に終戦が訪れ、彼は、命を救われた。いまでも、その飛行場には、人が訪れることができる。

#エッセイ

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