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自由俳句

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2021年12月の記事一覧

自由俳句 #21 鳥鍋

自由俳句 #21 鳥鍋

腹すかせ行くよ冬至の月の下

 冬至の空は、明るく雲が速く流れていく印象です。忘年会で集まった座の上に月が浮かんでいます。お酒か寒さのせいか目尻に涙がたまり、光を滲ませます。

✳︎

   鳥鍋

手の内へ紙の把手を三つ提げ

電飾や空へと掛けるオリオン座

金色のリボンが袋の口絞る

鳥鍋や箸を持つ手の薬指

自動販売機開けば駅寒し

四色のマークの車街冴ゆる

背表紙の分厚さ第二関節ほど

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自由俳句 #20 ありがとさん

自由俳句 #20 ありがとさん

「止まりますランプ」は赤ぞありがとさん

クリスマスが近づいて街の賑わいを感じます。「有りがたうさん」という、川端康成の小説を原作とした映画がありました。伊豆から東京へ向かうバス、道ゆく人とすれ違うたびに運転手は「ありがとう」と声をかけて行きます。

✳︎

   ありがとさん

唐草の風呂敷置かれバスの棚

冬の田の畦踏みならす獣をり

ふと悲し環状線を冬の暮

外套は吸はぬがゆえに煙草臭し

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