アラサーオタク女、婚活を決意する

オタク婚活概要

27歳、やばめの女オタク。

初恋のキャラは綾波レイ、好きな機体はスコープドッグ。
初めてお小遣いで買ったCDは「残酷な天使のテーゼ」。
小学四年生のときの誕生日プレゼントは「スーパーロボット大戦D」。
夫の名前はギュネイ・ガス。

ロボットアニメ好きの筋金入りのオタクである。
それが私だ。
そんな私だが、遂に婚活をしようと思う。


────婚活。


結婚のための活動。
つい一、二年前まで、全く結婚に興味がなかった。
一生結婚しなくていいと思っていた。

子どもを産み育てる自信がないし、誰かと夫婦関係を続ける自信もない。
だからまあ、生涯独身でいいと考えていた。

しかし。

寂しい。風がビュビュンとひとりぼっちじゃなくても寂しい。
同年代の友人は次々に結婚し、家庭人となった。

「将来は一軒家を建て、みんなでオタクシェアハウスをしよう」と言っていた奴に限って、サクッと相手を見つけ結婚してしまった。
世の中そんなもんである、わかっている。

そんな冗談をいつまでも妄想しているやつの方がおかしいのだ。
特に私の地元はドのつく田舎なので、適齢期を超えて結婚していないやつは異端ということになる。

異端は生き辛い。
王道から反れるということは、大多数から外れるということは、大きなリスクを伴う。
今の日本の社会は、大した能力もない女が一人で生きていけるようには設計されていないのだ。

まあそんなことは、先人が口を酸っぱくして言ってきていると思うので、私は割愛させていただく。

とにかく私は焦りと不安と寂しさを抱えた。
今はそんなにヤバくないけど、このままだとゆくゆく大変なことになる、そう思った。

恋愛経験は普通だ。
この年までに三人と付き合って、褒められたことではないが、それなりの人数の男と遊んできた。

結婚をしようとしたこともあるが、色々あってうまくいかなかった。
一人の人と長く付き合い、価値観の違いで穏便に別れる。
恋愛上手ではないが、下手でもないと思う、たぶん。

寂しいからといって、適当な異性と遊び続けるわけにもいかない。
これまでは年齢と性別で異性が寄ってきていただけで、これからはそうもいかなくなる。

先人の姿を見て、薄々感じていた。
気づきたくはないが、それとなく実感もしていた。

よって、私は真剣に共同生活を営めそうな相手を探すことを決めた。
一人は、寂しいのだ。
コロナ禍が拍車をかけていた。

私のスペックは高くない。
部屋の掃除は苦手だし、料理も簡単なものしかしない。
収入もなんとか暮らせる程度で、貯金もない。

他人に言える趣味は紅茶好きぐらいで、実態は家で茶をすすりながらdアニメを見ているだけだ。
見るアニメも偏りがちで、80年代を中心としたロボットアニメを見ている。

飲み屋のお姉ちゃんには下ネタも言うし、セクハラもする。最低だ。
知り合いには諸々含めて「おじさん」と称される。

身長150センチと少し。
体重は言いたくないが50キロ台後半。

顔はとても美人とは言えないが、不細工と言うには特徴が足りない、そんなところ。
第一印象は真面目そうな人。
あくまでも真面目“そう”なだけだ。

特技は初対面の人に敵意を抱かれないこと。
よく駅で道を訊かれる。
ナメられやすいとも言える。

とりあえず、虚偽申告にならない程度に取り繕って、色んな異性と出会ってみようと思う。
一年も頑張れば、最適な結婚相手が見つかるのではないだろうか。
…………わからないけれど。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?