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実録! ロゴデザイン改良の90日間

こんにちは。LegalForceに所属するグラフィックデザイナーのotkです。

私は現在マーケティング部のデザインチームの1人として、広告やバナーデザイン、製品資料や会社サイトのディレクションなどのデザイン制作全般を行なっています。
今回は会社のグラフィックデザイナーが公開する初めての記事ということなので、自己紹介がてらLegalForceのロゴデザインについて書いてみようと思います。実は2020年5月にLegalForceはロゴを変更しています。みなさん、ご存知だったでしょうか?

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2020年1月、私が入社したタイミングでこれまで使用していたロゴマークのデザインを改良する計画が立ち上がりました。およそ3ヶ月間をかけて行われた計画の経緯やデザインする中で考えたことなどを今回は書いてみようと思っています。
ロゴマークデザインの技術的な解説や、ブランディングにおける役割など専門的で小難しい話は一旦置いておいて、今回はスタートアップのBtoB企業に所属するインハウスデザイナーがどのようにロゴマークの改良を進めていったかについて書いてみるつもりです。

①まずはロゴマークのデザインを良くしたいと発言する。

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スタートアップの会社で特に思うのですが、問題や課題に気が付いた人が声を上げることが大事だと感じています。ロゴデザインのクオリティが気になったら入社初日に言ってみましょう。
私が会社のグラフィックデザイナー第1号ということもあり、提案することが最初の仕事だという責任も感じていました。
同じような課題を持ったメンバーを見つけて一緒に計画を進めていけるとスムーズです。

②社内に提案しみんなで喧喧諤諤する。

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CEO、COO、CTOやCROなどなど。会社のことをいつもよく考えている人たちに提案して意見を聞きます。
マーケティング部マネージャーの進行で、すったもんだしながらも改良することを承認してもらいました。ロゴマーク全体を一新するような方向性で提案を行いましたが、ロゴのコンセプトは残して、デザイン的な問題点を中心に改良を行う方向性でまとまりました。
普段何気なく使っている会社のロゴデザインも改良の計画が議題に上がると、皆真剣にデザインに向き合って熱い議論を交わしてくれます。基本的に外注でデザインの仕事を請け負ってきた私にとって、社内で繰り広げられる様々な意見を見聞きできるのは貴重な体験になりました。

③現状の問題点を洗い出し、改良の方向性を事前に提示する

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ロゴを改良する計画は無事に承認を得ましたが、「実際どれぐらい見た目が変わるの?」ということを気にしているメンバーが多かったため、事前に現状のロゴの問題点と改良の方向性を伝えました。
ロゴマークの変更は今まで親しんできた会社の看板を差し替える作業になるので、メンバーの思いを考慮しながら慎重に進めていくのが理想的です。

デザイナーから見たら違和感のある造形も、使い続けることで味が染みて親しみや愛着を感じてゆくものです。
ロゴマークの抱えるデザイン的な問題点をロジカルに説明し、視覚的・感覚的に優れたものに改良することでどのような得があるのか。それを説明することもデザイナーの仕事のひとつだと思っています。定量化できないデザインの質を上げる作業は、予測できない見込みの価値を生み出す事です。ここに中々コストをかけてもらえない仕事も多いのですが、粘り強くデザインがもたらす良い効果を伝えていきましょう。

④実際にデザインしてみる

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改良の方向性を理解してもらえたら、ようやく具体的なデザインの調整作業に入ります。
LegalForceはAIによる契約審査プラットフォームを開発している会社です。先進的でありながら恒久生(安定感)を感じさせるデザインが必要だと考えました。
ブランドカラーのグレーは踏襲しつつ書体の変更やシンボルマークの造形など色々と手を動かながら探っていきます。

このような作業を他の仕事と平行しながら4週間ぐらいかけて進めました。LegalForceのシンボルマークは六角形に3本のラインが入ったデザインですが、このラインをどの位置にどれぐらいの細さで配置するべきか。ロゴ全体はどの大きさで表示された時に一番視認しやすくあるべきか。などなど。とにかく時間をかけてロゴデザインに向き合います。かなり微妙な差ですが数パターンのデザインを用意してメンバーに意見を聞いたりもしました。

要素の少ないデザインなので作業自体はしごく簡単に見えますが、図形の角度や線の太さはロゴマークデザインにとって一番大事な造形要素の最小単位です。眉ひとつ動かすことで顔の表情が違って見えるように、僅かな太さの違いや角度によって、野暮ったく感じたり、お洒落に見えたり、清潔感や安定感も感じさせることができるものです。

⑤気が済むまでロゴと向き合う

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会社のメンバーに完成形に近いデザインの方向性が承認されたら、あとは気が済むまで細かな調整を続けます。
もしかしたら今自分の作っているロゴデザインが、30年・50年使われる可能性もゼロではありません。後悔のないように、誰に見られても恥ずかしくないようにデザインを詰めていきます。
ずっと同じ形を見続けていると眼と頭が混乱(ゲシュタルト崩壊)するので、時間を開けながら作業を進めたり、気分転換するといいでしょう。私の場合は猫を伸ばし、犬と遊びました。こうした地味で何をしているかわかりずらい作業に入ると、そろそろ「いつできるんですか?」と担当者に言われ始めますが、耳を塞ぎ、心を強く持ち、じっくりとロゴデザインに向き合いましょう。ここがデザイナーという職種の孤独な正念場です。

⑥仕上げ、完成

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これ以上検証することもないだろう。もうロゴなんて見たくない。という高みまで来たらそろそろ仕上げの作業です。
完成したロゴマークを正しく綺麗に使ってもらうためにロゴマニュアルを作成します。またマーケのマネージャーと一緒にロゴデザインのコンセプト文章も改めて作成しました。
このような作業は会社のブランディングを発信する・守るためにも大事な作業ですが、社内のメンバーに会社を理解してもらうために有用なコミュニケーションだとも思っています。

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ロゴの改良が済んだら、社内の古いロゴが掲示された名刺やチラシ、バナーやサイトを更新します。
スタートアップの企業ではそこまで大量な更新作業は無いかもしれませんが、会社が大きければ大きいほどロゴデザインの変更は膨大な作業や費用を伴いますので、計画的な準備が必要になります。製品UIへの影響もありますので、UIデザイナーともコミュニケーションを取って更新作業を進めていきました。

かいつまんで話してきましたが、以上がLegalForceのロゴデザイン改良の経緯になります。会社によって、人によって計画の進め方やロゴマークの大事にすべきポイントは変わりますので一概に成功列を示した記事ではありませんが、誰かの参考になれば嬉しいです。ロゴマークを一新することで会社のブランドを再構築する仕事は良く目にしますが、LegalForceのように現状のロゴを改良することで、既存のブランドを強化する作業も大事な仕事だと思っています。

今回の改良を通して、会社が自信を持って自社ブランドをより大切にする良いきっかけになったと思いました。

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