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魔法の種類は人それぞれ

以前「メイクは魔法だと思う」という趣旨の記事を書いたが、メイクを好きになったのは割と最近だ。
高校の時は演劇部だったから高1の時からメイクはしていたけど、あまり好きではなかった。本番の時はメイクの上手い子にメイクしてもらってたし。

「大学生になったら毎日メイクをして、毎日違う洋服と靴でコーディネートして、毎日違うバックを持たないといけない」
こんなことを言われたのはたしか高3の3学期だ。私の高校は進路決定者は登校しなければならず、推薦やAOで決まっていた9人で授業を受けていた。先生も生徒も気持ちに余裕があったから(やる事がなかったから)、大学生活について色々話してくれた。その時に言われたのが「大学生になったら~」。
大学生になったらメイクしないといけないのか!と大真面目に受け止めた私は、帰宅してからメイクの練習をした。マスカラとかリップは分かりやすいからなんとかなったけど、アイラインに苦戦。まつ毛とまつ毛を埋めるようにってどういうこと?インラインとアウトラインって?分からないことだらけだし、調べて真似しても上手くいかない。アイライナーと目の距離感がなかなか掴めず、眼球に刺してしまうことも多々あった。

入学式までになんとかメイクができるようになったけど、楽しいというよりかは義務感だった。今みたいに洋服の色味とメイクの関係性を考えていなかったからちぐはぐだし、なにより濃かった。基礎ができていないのに流行を取り入れてたから母から「おかめさん」と呼ばれたりして。
ナチュラルメイクはけっこう難しい。薄いメイク=ナチュラルメイクではない。ナチュラルに見えるよう丁寧に仕上げたメイクだ。

そんな義務感たっぷりのメイクをしていた私を変えてくれたのは、1本の口紅だった。
大学2年生の冬、仲の良い友人に「どうしたら垢抜ける?」と相談したところ「リップメイクをきちんとすること」と言われ、西武渋谷に連れて行かれた。デパートのようなキラキラしたところを避けていたから、本当に泣きそうになった。「気になるブランドは?色味は?」と聞かれても分からないし。
友人は無言の私を連れ入口近くにあるイブサンローランの前に行き「この子に似合うリップを探しているのですが」と店員さんに話しかけた。「試して行かれますか?」と聞かれ、意を決して「はい」と言った。友人に「そこから動かないでね」と言うのも忘れずに。

店員さんはいくつか口紅を持ってきてくれ、1色ずつ丁寧にくちびるに乗せてくれた。全て乗せた後「どれになさいますか?私はこの色が似あっていると感じましたが」と優しく聞いてくれ、店員さんオススメの色を買った。いつも買っているものの数倍はするけど、即決だった。それくらい鏡の中の私はキラキラしていた。
買ってすぐに友人の元に駆け寄り「すごく可愛い色見つけたの!」と話したら「楽しいよね」と返され、メイクって楽しい!と思えるようになった。

楽しいを越してメイクが大好きになった理由の1つに、商品名が可愛いこともある。先ほどあげたイブサンローランの口紅にも「ローズハプニング」「ロゼパリジェンヌ」など素敵な名前がついている。
この「ロゼパリジェンヌ」のコンセプトは「恋を仕掛けるホログラフィックピンク」だそう。可愛らしいピンクだけど仕掛けられるような、意思を感じる色。HPを見ているだけでワクワクする。

もちろんプチプラブランドにも可愛い名前がたくさん。私が愛するMAJOLICA MAJORCAの口紅の名前も「恋敵」や「控えめな告白」「悪戯Ⅱ」など、可愛い名前がついている。
マジョマジョは全部の名前が可愛い。アイメイクのほとんどがマジョマジョだ。「べたぼめ」のアイライナーと「アイコンタクト」「ゴージャス姉妹」「コルク」「テディ」のアイシャドウを使い「令嬢」の口紅を塗る。
理不尽な目に合っても「でも私令嬢塗ってるし」と大抵のことは流せるようになった。

私にとってメイクは魔法だ。

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