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声に出して108回 〈田園 #12〉

memo
今週、太陽が星座を移動し、火星と土星がつながります。そんな中、人生は社会的・道徳的に「しなければならないこと」をあなたに課すでしょう。自分の感情よりも、道義心を重んじて茹で玉子

占い師の館から帰宅すると先ず、田圃はメモ帳に走り書きした御神託を復習する。穴が開くほどメモを見つめたのち、「…茹で玉子」と御神託を声に出して108回。ところがその日は、54回目で躓いてしまった。御神託のうち、『道義心』という語句を理解しかねたためだ。

「道義」を皮切りに、「道理」「筋が通る」「筋道」「条理」「公序良俗」「信義誠実の原則」「人倫」と数珠繋ぎに字引で語義を調べ、最後に「信義」と「誠実」という言葉に行き当たった。つまるところ「道義」とは、「信義誠実を貫くこと」であり、「信義誠実を貫くこと」とは、偽らず、欺かず、私利私欲をまじえず、真心をもって人や物事に対し、真実の正しい道を行くことと読み替えられる。

こうした在り方が往々にして、田圃に行きづらさ/生きづらさをもたらしていた。しかしなんのことはない、「信義誠実を貫くこと」は人として当たりまえとされる姿勢にすぎぬと御神託に突きつけられたようで、田圃は頭を殴られる心地がした。ならばなぜ、人として当たりまえのことをしていながら、行きづらさ/生きづらさを覚えるのか。

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