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掌編小説

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#死別

【掌編小説】春の風

 私はとても弱い人の面倒を見ていました。  夏の日差しも、冬の空気も、彼の柔肌はそれを透過して負荷を蓄積してしまうのです。堰き止めておける負荷の量は多くはなく、そしてその堤防が決壊することは命の危機と同じことでした。  彼はとても弱く生まれたのでした。  気持ちの昂ぶりもいけません。彼は喜びも哀しみも笹舟を川に流すように見送ります。その切なさにはとうに慣れたようでした。  そんな彼も、もう終わりました。  最後の時、彼は教えてくれました。  春の季節が好きだったと。  ゆっく