【掌編小説】切り株古墳の馴染む庭
庭を掘り起こしていた。切り株を処理するためだ。
その木は家の外壁に近く、窓際に植わっていたので視線を遮るには丁度良い木だったのだが、如何せん近すぎた。伸びた木の根が地面押し込み、長い年月によってコンクリが割れたのだ。
僕にとってコンクリは石と同じようなものだから、それが根によって引き裂かれたなんてことは微塵も思いつかなかった。知識がなかったわけではないが、小さいひび割れが徐々に徐々に気付かないスピードで馴染むものだからそのひび割れがなかった頃を遡ろうにも思い出せない。破