繋ぐ歴史、25歳から歩み始めた住職さんの日常
プロフィール
☆圓龍寺 住職 井上唯明さん☆
福岡県北九州市小倉南区に立つお寺・圓龍寺。
500年以上もの間、
15代に渡り繋げてきた浄土真宗のお寺です。
仏教離れが進む現代。
空き寺・廃寺が全国的に問題になる中で、後継者探しに苦戦しているお寺も少なくありません。
このインタビューに答えてくれた井上唯明さん(以下、唯明さん)も、お寺を継ぎ、住職という道を歩み始めました。
いわゆる、若手住職の唯明さん。
若手住職としてどのように過ごされているのか、
またこれからについて聞いてみましょう。
「住職、13年目になりました。」
-01. 唯明さんは、子供の頃から僧侶を目指していたのですか?
実は跡取りに自分がなるとは思っていなかったです。
お寺家系は、「お寺を継いでね」と言われて育つイメージがあると思うのですが、両親からそのように言われたことはなかったですね。
私が高校生だったときに、親戚だった先代の体調があまり良くなく、血縁ではない人が代わりにお寺をするか、自分が継ぐかの選択でした。
お寺の仕事って何をするんだろうと、高校生ながらに考えることはありましたが、親戚からの跡取りにならないかという話もあり「大学卒業後は、住職になろう」と決断しました。
-自分で決断し、未知の世界に飛び込んだということですね。
住職界隈で、若手ながらも今年13年目を迎えるということで、だいぶこのお仕事に慣れたのではないでしょうか。
そうですね。仕事としては慣れているのですが、
職業柄、人の死に触れ合う機会も多いので
「出会いや別れ」については住職になってからの方が、より大切にするようになりました。
昨日までは元気いっぱいだったのに、年齢など関係なく突然亡くなってしまった。
という出来事が、私の日常生活の一部になっていて、お寺の近くで救急車の音を聞くと、ソワソワし始めるんです。
「あの人はいつも元気だから、大丈夫」という確信はどこにもないんですよね。
お通夜やお葬式では、亡くなったご本人よりも、まず先にお会いするのがそのご家族。
仕事といえど哀しみに包まれた空気に毎度心が締め付けられますね。
ただ、その悲しみを和らげたり、溶かしていくことが仏教によってできるんじゃないかと思っています。
-02.住職だから感じれるやりがいはどんなことがありますか?
「毎日、お参りに来てほしい。」と思ってもらえることが喜びですね。
毎月約130件もの門徒さんのお家にお参りに行くのですが、多くの人にそう思ってもらえていることが有難く、住職という仕事のやりがいに繋がっています。
- 03.これからの目標や展望についてお聞かせいただけますか?
江戸時代から受け継いでいるお寺の伝統を継続することが目標です。
500年以上も歴史があるお寺を今任せてもらえていることは責任重大ですし、何より、後世に残していくこと、お寺を継続することが大事だと思っています。
ー04.若い世代にも知ってもらい、気軽に訪れる場所にするには?
最近は地域の大学生と一緒にInstagramも始めました。
イベントやSNSなどを通して、若い世代にお寺に興味をもってもらい、浄土真宗にふれてもらいたいなと思っています。
定期的にイベントやお坊さんのお仕事について発信をしていますので、良ければぜひフォローしていただけると嬉しいです!
https://www.instagram.com/terajo_official/
ー05.インタビューを終えて
お寺の屋根の工事直前にというご多用な時にインタビューさせていただき、有難うございました。
時代が変わるスピードがすさまじい世の中で、唯明さんが日々お仕事をしていく上で500年以上もの歴史を守り続けていらっしゃる姿にとても感銘を受けました。
「空いた時間は何もしていない。」とおっしゃっていたにも関わらず、実は本を読んで仏教のお勉強をされていたり、お葬式でのお話の内容を考えたりと常に努力を惜しまない姿があるからこそ、毎月、唯明さんにお参りに来てほしいと言われる門徒さんがいらっしゃるのだなとお話をお伺いしながら思いました。
初回、最後まで御拝読いただき有難うございました。
次回はどんなお坊さんのエピソードになるのか、お楽しみに✨
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