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浄土宗のお歌の心「吉水流詠唱」

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浄土宗には様々なお歌を通じて教えを学んだり、様々な仏教行事の理解を深める方法があります。 五七五七七の和歌にメロディを付けた 「詠歌」 七五調の詞にメロディを付けた 「和讃」 …
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浄土宗のお歌の心を味わう「花まつり和讃」

仏教を開かれたお釈迦さまのお生まれになった4月8日に、その誕生を祝う行事を灌仏会(かんぶつえ)と申します。 別名としては降誕会(ごうたんえ)、仏生会(ぶっしょうえ)、浴仏会(よくぶつえ)とも言われますが、一般には「花まつり」という言葉が親しまれているでしょう。 白い像の上に飾られた花御堂の中におられる小さなお釈迦さま(誕生仏)に甘茶をかけてお釈迦さまのお誕生をお祝いする、そんな経験をされた方もおられるのではないでしょうか? この「花まつり」におとなえする和讃が「花まつり

浄土宗のお歌の心を味わう「増上寺和讃」

日本の首都東京に位置しながら600年の歴史を持つ念仏道場としての増上寺の今昔や、境内の建造物を賞賛する思いを和讃の形にしたものが「増上寺和讃」です。 1番 紫金の甍 朱の門 樹々の緑に 色映えて  首都の空に 聳え立つ これぞその名も 増上寺  三縁山の 晴れ姿 【最高の金色である紫磨金色、そのような瓦でふかれた大殿の屋根や、朱塗りの三解脱門が樹木の緑色に映えています。日本の首都・東京の空に聳え立つ浄土宗の大本山。その名も三縁山増上寺と称します。美しく荘麗な姿です。】

浄土宗のお歌の心を味わう「法然上人御忌和讃」

お歌の解説浄土宗を開かれた法然上人を偲び、そのお徳を讃える法要を「御忌(ぎょき)」といい、その思いを形にしたものが「法然上人御忌和讃」です。 1番 承安五年の 春なかば 都の花に さきがけて 濁世を救う 声あらた 専修の門は 開かれぬ 【承安五年(1175)の春なかば、法然上人は浄土宗をお開きになられました。それは都の花が咲くことにさきがけてのこと、濁り汚れたこの世を救う新しい声、お念仏の声があがりました。専修念仏(専ら阿弥陀仏のみ名をとなえる念仏の行を修すること)の門で

浄土宗のお歌の心を味わう「月かげの御詠歌」

浄土宗には宗歌として法然上人の和歌があります。 月かげの いたらぬ里は なけれども  ながむる人の 心にぞすむ とされる法然上人御作のものです。このお歌の意味は、「月の光は、山にも里にも隈無く照らしていますが、ただこれを眺める人だけに美しく澄んだ月を賞でることができます。同じように、阿弥陀さまのすべての人を救おうとされるお慈悲の光は、阿弥陀さまの御心をいただいてお念仏を申す人のみに宿り住し、澄みわたるのであります。しっかりお念仏に励みましょう。」 という我々が普段から大切

浄土宗のお歌の心を味わう「吉水流詠唱」

はじめに御詠歌(ごえいか)って聞いた事がありますか? 端的に言うと「仏教音楽」の一つです。日本の仏教には多くの宗派がありますが、各宗派毎に宗祖や高僧の残した五・七・五・七・七の和歌や七五調の詞にメロディを付けたものの総称であります。 各宗派で「〇〇流御詠歌」という流派がありますが、浄土宗では「吉水流詠唱(よしみずりゅうえいしょう)」と呼びます。浄土宗のみ教えだけでなく、仏教のみ教え、お彼岸やお盆など日本の仏教行事など、それらの行事の由来や意味合いを「お歌」を通じて理解できる