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くらしと絵文字

「くらしと絵文字」のタイトルで太田が30年前に書いた8頁の文章が、文部省検定国語教科書のトップページとして、全国小学校3年生で現在でも毎年使用されています。小学3年生だった太田の次女と、偶然、小学校教諭で小3担当だった家内に、別々に原稿を見せて意見を聞いたところ、二人はどちらも「いいんじゃない」と言うので、出版社にそのまま渡しました。

出版社では、ここまでやるかと言うほど厳しい分析・分解と検証が専門家を中心にしてチームワークで実施された結果、100%原文どおり採用されました。図版の手直しもこれまで、ほとんどありません。横断歩道で目にする「止まれ」「進め」の歩行者用信号の背景が黒色に手直しされたのに合わせて、人型と赤・緑の色を見やすくしたくらいです。以下、8頁の内容を振り返った後、次回記事では非常口サインのピクトグラム(=絵文字の学術用語)を取り上げてみます。


石の柱に指印(ゆびじるし)を掘り起こした道しるべや傘や筆など店頭に掲げられた業種表示の看板など、文字の読めない人でも分かる絵文字サインは、時代をこえて人々の暮らしに役立ってきました。現代では車の運転席に見られるヘッドライトやワイパーの表示、道路や公共施設には電話やトイレ表示など、洗濯やアイロンかけの仕方まで、絵文字表示によって分かりやすくなっています。

左:江戸時代初期の道標 長崎街道  右:東京9段 筆老舗 “平安”

絵文字の特徴は、見た瞬間にその意味が分かることです。テレビの天気予報では、全国の天気を瞬時に知ることができます。ワイングラスによって、壊れやすい運送物の取扱い注意が分かります。親しみや楽しさを感じさせてくれるのも絵文字の特徴です。50年前の大阪万博で使われた幼児が泣いている迷い子の絵柄は、見る人に優しさと親しみを与えました。動物の足跡の絵文字をたどっていくと、その動物に会える楽しいアメリカの動物園も海を越えて話題になりました。

ワシントン国立動物公園 動物の足跡による誘導表示
デザイン: ランス・ワイマン

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