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Monsieur Fのフランス語り その5【パリに惚れた、あの忘れられない映画のシーンってある?】

先日、オンラインカフェのお題は「あなたがパリに惚れた瞬間」でしたが、僕の場合は、映画のワンシーンから、パリに惹かれていったのかな、と思っています。

まず何といっても、「死刑台のエレベーター(Ascenseur pour l’échafaud)」を挙げざるを得ません。社長夫人のジャンヌ・モローが、行方不明になった不倫関係にあるモーリス・ロネを探し、深夜あてもなく彷徨うシーンは余りにも有名です。1950年代後半の第二次世界大戦から復興なった不夜城のパリを、マイルス・デービスのBGMと研ぎ澄まされた白黒の映像が、冷徹なタッチで際立たせてくれます。ヌーヴェルバーグを代表するルイ・マル監督の名作中の名作です。

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次に、「サムライ(Le samouraï)」が忘れられません。フランス映画史上最高のイケメン、アラン・ドロンはカナリアだけが友という、一匹狼の殺し屋。最初から最後まで、パリの街が舞台なのですが、何といっても尾行を巻くために、メトロを乗り継ぐシーンが印象的。令和時代も全く変わらないプラットフォームのシーンに苦笑してしまうことでしょう。ラストシーンも忘れられません。ちなみに、ついこの前亡くなったナタリー・ドロンとの「夫婦共演」が話題となりました。

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それから、ジュリーのヒット曲ではなく、ゴダール映画の最高傑作「勝手にしやがれ(À bout de souffle)」も、パリの街路を生き生きと映し出してくれます。くわえ煙草のジャン・ポール・ベルモントにあこがれたものです。相手役のジーン・セバーグのショートヘアはセシルカットと言われて大流行しました。僕の大学時代、「おフランス」にかぶれた学生は必ず観に行ったものですが、不可解な結末に、映画館を出て議論し合ったものです。

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最後に「終電車(Le dernier metro)」。ゴダールと永遠のライバル、トリュフォー監督の名作で、ジェラール・ドバルデュー、カトリーヌ・ドヌーブのスター共演で話題になりました。舞台はナチス占領下のパリ。現在同様夜間外出禁止令が出されていました。人々は、それでも劇場に通いましたが、ただ芝居が終わると一目散に終電車に向かって走っていくのです。コロナ禍だからこそ、もう一度見てみたい映画かもしれません。

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年齢的にオールドシネマにどうしてもなってしまいましたが、いずれも古さを感じない、そして今も変わらないパリの風景がそこにはあります。パリの深い伝統と歴史に「惚れなおす」のではないでしょうか。

【今日の一曲】

トリュフォー監督とジャンヌ・モローといえば、「突然炎のごとく(Jules et Jim)」。微妙な三角関係にドキドキさせられたものです。「アメリ」の中でも、そのシーンが使われていましたね。映画の中で、カトリーヌが歌うシャンソンの「Tourbillon」は印象的でした。

書いた人:Monsieur F

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