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盃つまんで Vol.59

マティス展
東京都美術館に「マティス展」を見に行った。8月20日までと、まだ会期はあるが、いつもぎりぎりになってしまうので今回は早めに。
 というのも見逃せないから。中学生のとき美術教科書に載っていたマティスにすっかり魅せられ、以来最も好きな画家となったのだ。その絵「エジプト風カーテンのある室内」は、右側が赤と緑を基調の大柄のカーテン、左窓外の緑と濃紺のヤシの葉、室内窓下の机に置いた黄色のレモン、地色は黒で引き締めた色彩コントロールがすばらしい。立体感のない構成的なベタ塗り画面は、後にグラフィックデザイナーを目指す大きなきっかけになった。描かれたのは1948年で、発表後10年ほどですでに教科書に載ったのだから、当時としては最先端美術の扱いだったのだろう。

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