やっぱり歪なスレミオが大好き〜『水星の魔女』12話と17話を経て〜【アニメ感想文】
(画像はTwitterより引用です)
こんばんわ、深夜区トウカです。ずばり今回のテーマは「スレミオ」というカップリング(二人の関係性)の魅力です。
が、しかし!今回はかなり語ることの多い素晴らしい回だったので本題に入る前に17話感想文としての前置きを長めに取らせていただきます。
目次を用意しますので、不要と感じた方は前置きは飛ばしていただいて大丈夫です。
○前置き(17話感想)
今回はグエル・ミオリネ・スレッタ、それぞれの目標が明確に表れた回でした。
グエルは「進む事の困難さを知った上でスレッタに本心を伝え、そしてスレッタの決断を尊重し、そして会社の再建に全力を尽くす」。
ミオリネは「スレッタをガンダムも殺し合いも関係ない立場にしてあげたい。その為には非情になって一見するとスレッタを突き放すような役もやる」。
ただ、「ガンダムも殺し合いも関係ない…」という一連の件には戦場も人の死も知ったグエルからのぼやきも入っていましたね。一筋縄では行かない道でしょう。
そしてスレッタは「ミオリネの事を一番大切にしているという事を口に出す、自身の花嫁に選んでもらう為に託された温室も決闘も本気で向き合う」。
ここでとにかく重要なのはスレッタ自身が決闘中に放った「私を選んでください!」というセリフです。
これに関しては本編でもう一度しっかり扱います。
とにかく今回は主要人物が目標を明確に掲げ、それに向けて前進した素晴らしいエピソードでした。
個人的には決闘直前ニカ姉の「(ノレアと
強化人士5号の不穏な会話を聞いて)ガンダム…?死ぬ…?」という今思えばあからさまなミスリード呟きでグエルの死を確信したので死ななくて良かったです…。
前フリも効いてましたから…誕生日までは負けない宣言もそうだしメタ的にもホルダー交代は無いものだと勝手に思っていたので…。
いや、見事にミスリードに引っかかりました。楽しかったです。
とにかく17話は色々な要素が詰まった素晴らしい回でしたね。
相当前置きが長くなりましたが、そろそろ今回のテーマ、「スレミオ」の話に移りましょう。
○本編①:スレッタとミオリネの関係における美しさは歪さにある
ここから本編です。
まず大前提ですが、ここから話すことは私が思う個人的な良さということになります。
スレミオは相当な人気カップリングですので、当然人気は一枚岩ではありません。ですので、他の方とは食い違う部分もあるかと思います。
その上で断言しますが、スレミオの良さはその関係性の歪さにあります。
関係性の歪さというのはつまるところ対等な関係になれていない、ということです。
スレミオは最初、決闘に付随する事務的な関係として始まり、それが徐々にお互いがお互いを意識し助け合う対等な関係へと近付いていきました。
しかし、完全に対等にはなれなかった。
それがなぜかと言えば、ミオリネはスレッタに対して大きな価値観の相違を感じているからです。
価値観の相違で印象的なのはやはり12話Cパート、血まみれの状態で笑顔を浮かべながら手を伸ばすスレッタに対してミオリネが言い放った「なんで笑ってるの…?人殺し…!」というセリフでしょう。
その行動は確かに我々の常識または水星の魔女世界からすれば異常な行動であることは間違いありません。
しかし、あの行動はスレッタの中にある理には叶ったものであり、確たる意思を持って行われたものなのです。
それが是が非かは置いておくとして、あの瞬間にミオリネはスレッタの持つ価値観に対して非常に大きな見解の相違を覚え、それを突き放してしまったということは事実に他なりません。
本記事と直接の関係はありませんが12話Cパートにおけるスレッタの心情解釈は過去に一度記事にしたことがあるので、よければそれも読んでみてください。
そうして大きな価値観の相違に晒され後退りしてしまったミオリネに対し、スレッタは逆にそれを前進と捉えているのです。
それがまたスレミオの関係を考える上で重要なポイントになります。
当然のことながら、スレッタにとってあの行動は進むことで「ミオリネとデリングの命を守った」「花嫁の前でカッコつけることができた(しまらないな〜というセリフから)」という2つを得ることができた出来事でした。
ここで両者は決定的にすれ違っています。
第二期ではその行動についてミオリネは自分の命を守る為にしてくれた行動だ、と理解している描写がありましたが、それはそれとして人を殺すということを肯定しているわけではありません。
その部分は16話での会話シーンで浮き彫りになっていましたね。
ミオリネはスレッタの行動の意味を理解し感謝はしていましたが、「それはそれとして私は人を殺すという手段は違うと思う」という自分の意見を真っ直ぐぶつけています。
しかし、スレッタは大切な人を守る為に殺人という手段を用いることをうっすらとですが肯定します。
恐らくは14話でソフィに言われた「大事な人を守る為に人を殺すなら結局私と同じじゃん」という言葉も頭にあったのではないでしょうか。
ここにおいて、明確にスレッタとミオリネの価値観は対立したということです。
○本編②:歪さに悩むのが好き
話は変わりまして、その関係のどういった部分に魅力を感じているのかを書いていきます。
まず、私は人が価値観の相違に直面して悩む、という状況自体が大好きです。
自分の中にはない常識に対して戸惑ったり、怯えたり、時にはそれを強い言葉で否定してしまったり。
それでも相手のことは好きだし、その考えを理解してあげたい。だから自分にはわからないことでも頑張って理解しようとするし、否定してしまったなら後悔もする。
前提として相手を思いやる気持ちと好意があるからこそ成り立つ図式です。
そんな関係が好きだったので12話Cパートはかなり直撃でした。
本当に1ヶ月くらいはそのことばかりを考えて生きていたことは間違いありません。私の中のスレミオ熱は大きく高まっていました。
ただ、2期が始まってからのスレミオ熱は本編に対する熱中度と比較すると少し下がっていました。
それはスレッタとミオリネが物理的に離れていたからとかそういうことではなく、ミオリネが想定していたよりもすんなりとスレッタの行動を受け入れていたことに起因します。
当然殺人は論外としても、スレッタが咄嗟に取ったあの行動は自分を守る為であり、ある種仕方のないことだったとミオリネは理解していました。
私はそこでもっと悩んだり怯えたりしているものだと勝手に想像していたのでその様子を見てやきもきというか消化不良というか…。
とにかく、相当大きな出来事だったのでもう少しじっくりと時間をかけて悩んで欲しかったのです。
これに関してはミオリネが私の想定よりもよっぽど聡明で大人だったということが要因ですね。
本来ならその割り切りは良い事のはずですが、個人的にはもっと弱い部分が見たかった、というのが本音です。
○本編③:17話、見限られたスレッタ
そして、話題は17話に移ります。
17話ではミオリネの「もうスレッタをガンダムにも殺人にも関わらせない」という目標に沿って(プロスペラの陰謀もありそうですが、今のところはまだ全貌が見えません)事前にスレッタの負けが確定しているやらせ決闘が始まります。
仕掛けは思い通りに作動し、エアリアルは明らかに異様な動作で停止。
そしてアンテナが折れ、スレッタは敗北します。
グエルが決闘に賭けていたものはエアリアル。
そして、ホルダーを倒したものはホルダーになる。
スレッタは大切な家族であるエアリアルを失い、ホルダーとイコールで結び付いていた花嫁も失ってしまいました。
敗戦後、スレッタはあからさまに取り乱してグエルに再戦を要求します。
しかし、そこに表れたミオリネによって告げられたのは「エアリアルが動作しなくなったのは自分が手を加えたから」「花嫁と花婿の関係はここで終わり」という言葉。
ラストシーンはスレッタの絶望の表情です。
ここでようやく気が付きました。
ミオリネはスレッタの価値観がプロスペラによって植え付けられたものだと見抜き、それを変えさせようとしてスレッタと対面しました。
しかし、そこでスレッタは殺人の否定ができなかった。
故にミオリネは強硬策に出た。
つまり、これはスレッタが自分を主張できなかったばかりにミオリネが取らざるを得なかった、いわば会話による自力更生は不可能だと見限られた結果なのだと。
当然ミオリネとしてはスレッタの幸せを第一条件として選んだ選択肢ですが、スレッタがもし母の過剰な影響や殺人という手段を明確に否定できていたのならば取られなかった選択肢でしょうから、これはスレッタによる甘さが招いた結末と言えるでしょう。
同時に理解したのはミオリネが結構あっさりと割り切っていた価値観の違う相手との接し方に悩む、私の求めていた関係性のあり方を演出するのはスレッタだったということです。
スレッタは決闘中、「(ミオリネに対して)私を選んでください!」という叫びを発します。
それは、スレッタ自身に選ばれなかったらどうしようという恐怖があるからだと私は思います。
スレッタは学園に来てから勝利することで色々なものを手にしてきました。
だからこそ、「この決闘に負けたら選ばれないんじゃないか」という思いがあったのです。
だからこそ負けられない戦いだったしだからこそ負けてしまってパニックになった。
ミオリネのスレッタを案ずる気持ちが故に二人はすれ違い、そしてスレッタは家族も花嫁も失ってしまった。
私が求めていた関係というのはまさにこれです。
歪さというのはどこかで矯正しなくてはなりません。そして、歪さを矯正する為にはそれと向き合って、悩んで、非情な選択をして、そして絶望するという過程が必要なのです。
2人はきっとここからその歪さを矯正し共に歩み出すでしょう。それを踏まえての今回だったと思います。
しかし、今まで表沙汰になっていたかっただけで歪は歪なのです。それに直面し、愛故の対立が深まるという構造がやっぱり大好き…。
ということで、「やっぱり歪なスレミオが大好き『水星の魔女』12話と17話を経て〜」でした!
○あとがき
長いですね!今回の記事はおそらく水星の魔女12話の衝撃に突き動かされて書いた記事以来の文字数だと思います。
基本的には2,000〜3,000字が多い私の記事ですが、今回の文字数は4,500文字程度文章を書きました。流石に書いてて長いな…と思う瞬間がありましたがやっぱり感じたことは放送中に書いておかないと…というモチベーションでなんとか放送日翌日に仕上げることができました。
この記事は要するに「愛してる相手のことを理解したいんだけど理解できなくて精神的苦痛を感じるの良いよね…」というそれだけの記事なのですが、そこはやっぱりきちんと魅力や心情(自分の解釈ですが)を書いておきたかったので多少長くなってしまいました。
きっとこの先、何度となく私の予想は裏切られるでしょう。ここで語ったことがてんで的外れである可能性も全然あります。
しかし、それで良いのです!少しでも多くオリジナルアニメ放映中に感想を残しておく!
そんなモチベーションでした。
とりあえず書き終わってよかったです。
それでは、安堵の気持ちと同居している今の私の心根を叫びますね。
こんな良いところで総集編入れるな!!!!!!!!!!サンライズの現場スタッフのみなさん頑張って!!!!!!!!!!!!!
お読みいただきありがとうございました。
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