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信頼関係を築くとは ~プライベートどこまで明かすのか~

看護師と利用者(病院では患者)が信頼関係を築くことは、重要なことで、これがあるとないとでは、発言や実際の手当に対する安心感や伝わり方が全く違うと思います。

距離を縮める方法は、わかりやすく丁寧な説明や、求められている医療が提供できることだと考えます。

看護師が隣のおばちゃんや、おじちゃんのように、家庭のことなどプライベートを明かすことで人柄がわかって、距離は縮まるかもしれませんが、信頼関係を築くことになるのかは疑問。

本当の心配事を打ち明けてもらう看護師になるには、自分が、どう白い壁になり得るかだと思っています。

-白い壁になる-とは
「何でも言ってください。聞く体制ができていますよ」と伝わる姿勢です。

心理学を学んでいた時に、話を聴くというカウンセリングの講義で学んだ講師からの言葉ですが「例えば、猫が病気で心配と話した相談者に、私も猫飼っているんですと返事するカウンセラーはNG」と。
それは寄り添うことではなくて、私は猫を飼っていて話を聞く人というカラーが、自分についてしまっていることで、相談者にとっては、何でも相談していいカウンセラーとは違うのだそう。

カウンセラーの背景は真っ白にすることで、相談者は本心を話せるのだと・・・。

話してもらえる人にならないと、聴くことはできません。
この「聴く」は字のごとく、耳を添えて体を傾けて聞くことです。
この講義は、日常の仕事と重なって「うん、うん」と頷いて受けました。


高齢夫婦のどちらかが病気をすると「娘は嫁ぎ先の親の介護もしているから、心配かけられない」とか「息子は仕事が忙しい時期だから、話せない」と、介護が大変な時に、重要なことを相談できずにいる場面をみることがあります。
看護師のプライベートを明かすことは、これに近い気がしてなりません。

誰が訪問しても、同じ手当をして、同じ金額が発生するのだから、「あの看護師さんには言いやすいけど、この看護師は言いにくい」ができないようにしたいところです。

看護師も一人の人だと伝えることも必要なのでしょうが、仕事で出逢ったからには、プロっとして話が聴ける看護師でありたいと思います。


そんなことを考えていると、ある方の顔が浮かびます。
病気の性質上、入退院を繰り返していますが、退院するたびに主治医の好物や家庭環境の情報を教えてくれます。

「へぇ~、あの先生お酒好きなんだ。〇〇に住んでるの。そうなんだ」と一緒に盛り上がります。
楽しく話す彼女の笑顔を前に、聞き上手な人もいるから、つい話しちゃうよねぇ。と矛盾した思いを抱きます。

情報通の彼女は、「あの先生はね。言葉は足りないけど決断力はあるのよ」と、まるでお母さんのように言います。

聞き上手な人は、深い情があったりします。

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