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B.E. Summer Edition(特集:こころの問題)

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春号の購入、誠にありがとうございました。最新夏号では「こころの問題」をテーマに、『こころのナース夜野さん(小学館)』『リエゾンーこどものこころ診療所ー』を特集いたしました。 当… もっと読む
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記事一覧

B.E.夏号 第1章「こころの問題とは何か?」

こころの病の原因は、脳の機能が不具合を起こしたために生じたのか、あるいはマブイ(魂)を落としてしまったために生じたのか(7章参照)、どれも見方によってはもっともらしく聞こえてしまうのではないだろうか。 結局は「何を信じるか」ということなのかもしれない。現代医学や脳科学という研究や実験に基づいた科学的知見の立場をとるか、あるいは、一見すると理解し難い霊的(スピリチュアル)な存在を信じる立場をとるか、もはやどんな生き方を採用するかは自ら選び取るものであって、世の中の人誰もが「こ

B.E.夏号 第2章「巻頭特集 水谷緑先生インタビュー」

※本記事の文量は約1万字です。 漫画月刊誌の「月刊!スピリッツ」で連載されていた『こころのナース夜野さん』の作者である水谷緑先生にインタビューを実施。執筆当時の心境や、今後の制作テーマについてもお伺いさせていただきました。 ー改めまして本日は取材のお時間をいただきまして、ありがとうございます。早速自分語りを始めてしまい恐縮なのですが、なぜ水谷緑先生に取材を申し込んだのかの背景からご説明させてください。わたしは、これまで広告代理店に勤めていました。世間的にも激務だと言われて

B.E.夏号 第3章「仕事とこころ」

※本記事の文量は約5,100字です。 「何のために働くのか」それを考え始めたら負けだという人もいる。本当にそうなの? 食べるために働くのか、夢のために働くのか、目的は多様であってもいいはずだが、働き方は未だ単一的な現代日本。そんな中で「こころ」はどうなっていくだろうか。一緒に考えて見ませんか。 ー鈴木さんの仕事観についてお話聞かせてください。休職される直前に仕事をしていたのは広告会社でしたよね。どんな状況だったか詳しく教えてもらえますか。 (鈴木)すごく微妙なのが、わ

B.E.夏号 第4章「子どものはなし」

※本記事の文量は約1万字です。 子どもたちが抱えるには重すぎるものを、私たちの社会は背負わせている可能性があります。家族のケアをするヤングケアラーの子どもたちを支援する、一般社団法人ヤングケアラー協会の小林鮎奈様にお話を伺いました。 ー本日はよろしくお願いいたします。小林さんは以前に『こころのナース夜野さん』の作者・水谷緑先生から取材を受けたとのことでしたが、『リエゾン』(竹村優作・ヨンチャン、講談社)もご存知でしたか? (小林) 「ヤングケアラー」を扱った巻を読みまし

B.E.夏号 第5章「ヤングケアラーを巡る社会変化」

※本記事の文量は約5,900字です。 映画『誰も知らない』(是枝裕和監督)が公開されたのが2004年。そして『リエゾン』(竹村優作・ヨンチャン、講談社)の第1巻が発売されたのが2020年。16年経って、子どもたちの描かれ方はどのように変化してきたのだろうか。二つの作品からヤングケアラーをめぐる社会状況を紐解く。 ー本章ではヤングケアラーについて話をさせてください。 (鈴木)ヤングケアラーについては、『リエゾンーこどものこころ診療所ー』(竹村優作・ヨンチャン、講談社)の第

B.E.夏号 第6章「就職活動とこころ」

※本記事の文量は約21,000字です 就職活動を苦にした自殺が後を絶たない。単なる職探しではないのか。どうして追い込まれてしまうのだろうか。就職活動でわたしたちが求めらてきたものとは何か?「自己分析」という行為を起点にして振り返ってみたいと思う。 ー今回は鈴木さんの就職活動の実体験をまじえながら、今回の特集「こころの問題」についてお話させてください。大学を卒業されたのは2008年ですよね? (鈴木)そうです。だから就職活動を行なったのは2007年ですね。社会情勢は最悪の

B.E. 夏号 第7章「悲しみと向き合う」

※本記事なての文量は約13,000字です。 大切な人が亡くなったとき、あなたはそれに向き合うことができますか? グリーフとは、心の蓋が閉じてしまい感情を表に出すことができなくなってしまった状態のこと。今回はグリーフサポートを提供する一般社団法人グリーフサポート研究所・代表の橋爪謙一郎様にお話を伺いました。 ー本日はよろしくお願いいたします。ホームページを拝見しましたが、株式会社ジーエスアイ(以下GSI)の関連組織として当研究所を設立されたのでしょうか。 (橋爪) 企業

B.E.夏号 第8章「悲しみと向き合う場所で」

悲しみへの向き合い方は千差万別。グリーフケアの現場で死別の苦しみを抱えた方々と日々向き合う、グリーフケア協会代表であり、東北福祉大学の教授でもある、宮林幸江さまにお話を伺いました。 グリーフケア(日本では死別悲嘆と呼ばれることもある)への関心は、ここ日本でも着実に高まってきている。2025年問題としてテレビや新聞などのマスメディアでも伝えられることが多いが、高齢社会が浸透した社会において大切な人との別れというのは、誰にでも平等に、かつ避けがたいものとして訪れることなのである

B.E.夏号 「編集後記」

新自由主義はそこかしこで批判されているので、今更わたしが批判してもなんですが、常に成長、規模を大きくしようと努め、大金を稼ごうとする、そんな世の中はここ数十年に起きた短期的なトレンドにすぎません。しかし、そんな世の中では、長時間タフに働き続けることができる人、欲に駆動されて、より大きく、より多く、より早く、より遠くまで行くことができる人だけが賞賛されてきました。そのような世界では取り残されてしまう人たちがいるということに、目を向けたい。彼ら彼女らが、取り残されてしまうのは決し