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神々の食事

「ねえ!神ー!神ー!そこにいるんでしょ?ねえ!神ー!」


「誰じゃ誰じゃ、ワシの名前を気安く呼んでるやつは…
なんじゃ、ワシより138億歳も年下の若造じゃないか。ほれみろ、確定申告もしたことのない顔をしておる。」


「確定申告?なにそれ? そんなこといいからさ、今日は神に聞きたいことがあって来たんだよ!」


「ほう、何でも聞いてみよ。この世にワシが答えられん質問はない。」


「じゃあ聞くけどさ、世界には色んな料理があって最近では取ってつけたように創作料理を名乗っているようなオリジナルの料理も蔓延してるじゃん。そこで神はさ、人間たちが創り出した料理の全てが想定内だったの?それとも今では神が知らなかった料理ってのもあるの??」


「…っ!いい質問じゃな…
た、確かに人間たちはワシが想定していた以上のスピードで進化しておるし、それに比例して料理も多様化しておる…。ただ、ヒトという生き物をワシが創り出した以上、そのヒトが創り出す料理は全て想定内に決まっておる…。」


「ふーん、ちょっと怪しいなー?
じゃあさ、例えば僕トンカツが大好きなんだけど神はトンカツって知ってる?」


「おい若造、あまりワシをバカにするんじゃないぞ。来世はアニサキスにしてやることもできるんじゃぞ。
トンカツならワシも大好きじゃ。知らないはずがなかろう。」


「へー!そっかー!でもまあトンカツくらい誰でも知ってるよね。じゃあもちろん豚肉に小麦粉と卵をつけたあとパン粉をまぶして揚げるっていう作り方も含めて想定内だったんだよね?」


「当たり前じゃ、なんならこの世に”豚”という生き物を定義する会議のときにすでに小麦粉と卵とパン粉をつけて揚げたものを豚としようと提言したのはこのワシじゃからな。」


「なんか偉そうに言ってるけどさ、そんなことされたらソーセージも豚しゃぶもこの世からなくなるところだったね。神の意見が通らなくて良かったよ。
まあいいや、また質問しに来るよ!」


「ああ、またいつでも来るがよい。ワシに答えられん質問はないからのう…。」

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