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いそがしい人のための建築模型テクニック講座 ~床編~

太田研究室note企画第13弾。今回は4年の小原が今日からできる建築模型製作の工夫について書こうと思うます!


さて、このnoteを読んでいる方は建築学生の方が多いと思いますが….

時間、足りていますか??

限られた時間の中でコンセプトを考え、プランを練ってプレボを作っていると多分一番削りたくなるのは模型製作の時間だと思います。
そこで今回は"自称"武蔵野大学で一番模型製作好きな小原が
「短時間できれいな模型を作るテクニック」
について書いてみようと思います!



さて、短い時間で作るとなると、ある程度力を割く部分を絞る必要がありますよね?
そこで僕は以下の要素に注意して制作しています。

①強度(耐久性)
②並行垂直
③ディテールの統一


①強度(耐久性)
え、一番は強度なの!?と思った人、多いかもしれません。僕も一時期は「模型なんて当日耐えれば充分。困ったらあとで修理」と考えていました。しかし、実際は後で模型を直す時間なんてありません。課題が終われば次の課題が待っていますし、長期休みは遊びもバイトもしたいですよね??

②平行垂直
これはイメージが付きやすいと思いますが、スラブや柱が変に曲がっていると不安定な感じが出てしまいます。不安定なつくりでは必然的に強度も下がってしまいますので丁寧な工作をして平行垂直を守るようにしましょう。

③ディテールの統一
適当にあれこれつけるのではなく、ディテールを絞ることで模型全体が一気に引き締まって見えます。ここはセンスが問われる部分なので、いろいろな模型を見て勉強すると良いでしょう。
僕は窓枠と手すりを丁寧に作るよう心がけています。


今回は①の強度・耐久性を高めるテクニックについてすこし詳しく書こうと思います。

さて、模型の強度のカギとなる部分は「床」部分です。床が反ったり歪んだりすると模型全体がダメになってしまいますよね?あと模型の床材として貼る色紙が時間とともにしわしわになるのは悲しい…


そこで…今回紹介するのは

「長期間置いても歪まない!しわにならない!床の作り方」


です。

本題に入る前に大前提として基礎がしっかりとしている必要があります。模型の基礎にはハニカムボードか15mm以上のスチボを使いましょう。ここはケチらず新品推奨です。

さて基礎ができたら本題の床です。


手順

長手の反りが目立つため、基本は短手方向に切り込み

①スチレンボードの下にする側に適当な切れ込みをたくさん入れる


②床材に使う紙(または木材)に両面テープか77スプレーを均一に塗布(両面テープは一部だけ貼ると後で床がしわしわになります!ケチらず全面に貼りましょう)


③しわができないように引っ張りながら張り付け


え、切るの!!?と思われるかもしれませんが、このひと手間を加えることで、床の反りが大幅に防止できるんです!

床材(赤)が伸びるとそれに合わせて下側が伸びる


スチボが曲がる理由は表裏のアンバランスが原因です。
事前に切り込みを入れて紙が伸びる空間を確保しておくことでこのアンバランスを極力解消することができ、床が曲がらないよ!!ということです。

半年前の模型だけど、ほとんど歪み反りなし

マジで時間がない場合は切れ込みの代わりに折り目でもOK。ただこちらは見栄えが悪いのと天井材を貼ることを考えるとちょい微妙。

この手法は壁や屋根でも使えます。これで歪みとはおさらばですね!!


余談
この手法を思いついたきっかけは、クラッシャブルゾーンについて知ったことでした。
クラッシャブルゾーンはあえて破損しやすい部分を設けておき、事故が起きたときにそこを破壊することで重要部分に損傷が発生しないようにするシステムです。最近の車や電車でよく採用されています。


↑ぶつかったとき人に被害が出ないよう、先に運転室の後ろが破損する。

工作のヒントは身近なところにあります。たまには建築以外のものに触れるのも良い刺激になるんじゃないでしょうか?


さて、今回の講座はここまで!
次回があるかは未定ですが、その時は
「不器用でもきれいに仕上がる!開口部の作り方」
について書こうと思います。

それではみなさん、よい建築ライフを!!


図版引用元
出典 JR東日本
「衝突シミュレーションを活用した 車両の安全確保対策に関する研究」
URL https://www.jreast.co.jp/development/tech/pdf_3/35-40.pdf







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