DJインタビュー「衣、食、住、DJ」vol.2 Chihiro Oda(ROAD,CAFE & GALLERY DOWN BY LAW)
皆さんこんにちは!「アナログレコード、DJ機材、作曲機材専門店 OTAIRECORD(オタイレコード)」スタッフの荒井と申します。
全国で活躍中のDJの中で、普段はファッション、飲食、アートなど、シーンを超えて活躍する方お招きしてインタビューを行うオタイレコードのインタビュー企画、「衣、食、住、DJ」の第2弾です!
今回はセレクトショップ「ROAD」、オリジナルブランド「REV」、ポップアップやギャラリーなども行うオルタナティブなカフェ「CAFE & GALLERY DOWN BY LAW」を経営しながら週末はDJとしてもご活躍されるChihiro Oda様に取材を行いました!このインタビュー記事を通して読者の方がDJに対して、より身近に感じてもらうことができれば光栄です!
ロックをベースにさまざまなカルチャーが融合された
セレクトショップ「ROAD」
荒井(A):まずはじめに現在取材を行っているセレクトショップ「ROAD」について、詳しくお伺いしていきたいと思います。こちらのお店、どういったことがコンセプトでしょうか?
ちひろ様(C):お店のコンセプトとしては、自分自身のバックグラウンドであるロックを基本のベースとして捉えています。自分自身、元々バンドブームの時代に育ち、若い頃からロックミュージックを聴いてきました。
当時はみんなバンドなどをやっていたので、カセットテープにお気に入りの曲をダビングしてこれ良いよって友達と交換し合ったりとか、自分でミックステープを作って友達に渡して聴いてもらったりとかしていました。それがひょっとしたらDJのきっかけだったのかもしれません。
また、音楽と同様にファッションも好きで、興味を持っていました。そのため、昔からアパレル関係の仕事を目指していましたね。音楽とファッションは密接に関連しており、自分のファッションは当時からロックミュージックに影響を受けていました。
A:当時はどこで服を買われていましたか?
C:中学生や高校生のころははパンクファッションに影響を受けていたので、そういった服を中心に着ていたんですけど、パンクファッションの専門店は名古屋にあったので、当時住んでいた地元の岐阜から名古屋まで来て買っていましたね。ゴールデンイヤーズさんとか、今でも残っているお店もありますけど、そういったお店で買い漁っていた感じですかね
A: 当時好きだったアーティストや曲はありますか?
C:ファッションとかに影響を与えてきたのはやっぱりロカビリーだったり、パンクだったりするんですけど、当時日本のパンクブームの中で僕が最初にハマったのは、JUN SKY WALKER(S)とかUNICORNだったりとか。もちろんBOØWYとかは僕らの世代は切っても切れないところなんですね。ただ、メジャーのアーティストのルーツを掘り下げていったとき、もっとコアなバンドがいたりして、それが名古屋でいうとTHE STAR CLUBだったりとか、そういうバンドマンのファッションにはかなり影響を受けました。
そこから更にSEX PISTOLSを知ったりとかThe Clashを知ったり、洋楽も聴くようになっていったという感じですね。
ですから流れとしてはポップなパンクから掘り下げて、ルーツにたどり着いたという感じでした。
A:なるほど。名古屋のロックバンドにも触れられましたが、バンドブーム後も、名古屋では今池などを中心にロックの文化が根強く残っています。
ちひろさん自身、今の名古屋のロックシーンについてはどういった風に捉えられておりますか。
C:現在はロックに限らずどのジャンルでも「多様化」が進んでいていると思います。ロックバンドがHIPHOPのアーティストとコラボレーションをしたり、HIPHOPのアーティストがロック調の曲を出したり、だんだんボーダーレス化が進んでいると思います。
ただ僕らの世代は、やっぱりストレートなロックだったりパンクだったりを今でも貫いてる先輩方が結構多くて、そういったシーンやカルチャーをお店にも反映させていきたいなと思っています。僕もルーツを辿った側の人間なので。
うちとしては全体でいうとオールドスクールな部分は強いと思いますけど、トレンドも抑えながら新しいスタイルを提案していければという考え方でやっていますね。
オリジナルブランド「REV」
A:では、ROADでも販売されている自身のオリジナルブランド「REV」についてお伺いしていきます。
公式サイトには、モーターサイクルやスポーツからの影響もブランドのコンセプトとしてあると書かれていましたが、そういったロック以外のルーツについても少しお伺いしたいと思います。
C:「REV」は2016年からスタートさせていますが、最初はバイクやロックテイストのものを押し出して展開していました。それでいて機能的であるというのも僕の中でテーマになっていて、スポーティな部分と僕が元々持っているアイデンティティとしてロックだったりバイクだったりをミックスさせたら面白いんじゃないかという考え方で、最近はデザインしています。なので細身の部分もあれば緩い部分もあったり、ストレッチ感があったり、基本的には丸洗いできる素材を選んでやったりとか、普段の日常の中で使いやすいものを作って展開させてもらっています。
A:いろんなジャンルのボーダーレスに交差されているアーティストやブランドが有りますが、実際にロックで育ち、ある意味ロックを知っている方がデザインする服だとやはり説得力がありますね。
CAFE & GALLERY DOWN BY LAW
では、併設されているCAFE & GALLERY DOWN BY LAWについてもお話をお伺いできたらなと思います。
CAFE & GALLERY DOWN BY LAWを始められたきっかけ、カフェの形態を取られたのはどういった背景からあるのでしょうか?
C:そもそも、DOWN BY LAWができる前、ここはROADの出入り口でしたが、このスペースをギャラリーや飲食ができる、みんなが集まる場所にしたいと思い始めました。
A:ここで色々なギャラリーやイベントをされている中で新たな発見はごさいましたか?
C:そうですね。イベントやポップアップイベントをやっていただき、他のブランドのデザイナーなどと交流がある中でたくさんの新しい発見があります。
また、僕も色んな地方にポップアップに行きますが、外に行った時の発見が結構ありますね。このシステム便利だなとか、ポップアップで自分が感じたことをお店にフィードバックさせてもらったり、自分の店でやってみようとか、こういう展示会がいいねとか。
他にも貸し方、連絡の仕方も含めて発見することは多いです。
A:今は場所の提供はどういったシステムで行われているのでしょうか?
C:1日貸しのスタイルや、貸切のスタイル、時間貸しのスタイルもありますし、主催者側と相談者して決めていくスタイルですね。
A:ありがとうございます。
では、ロード様とダウンバイロー様については最後の質問となりますが、お店やブランドとしての今後の展望がございましたら教えて頂きたいです。
C:まずこのカフェはまだできたばかりなのでこれからどんどん活発化させていきたいと思っています。ロックがベースのお店とは言っていますが、あらゆるカルチャーが混ざるようなハブになっていけばいいかなと。
また、バーバーも併設しているのでヘアスタイルやファッションを含めて、全てをここで提案できる、トータルな店づくりを今後も目指していこうかなと思います。
当時異色だったロックDJ
A:ありがとうございます。
では続いて、DJとしての活動について質問をさせていただきたいと思います。
先ほど、ロックから自分の音楽的なキャリアがスタートされたというお話を伺いましたが、やはりDJというと一般的にはダンスミュージックだったりHIPHOPのイメージが大きいとは思います。
そこが交わったきっかけというのは何かございますか?
C:僕らが若い頃はディスコなどの夜の場所があって、そこではダンスミュージックがもちろん流れているんですけど、ロックばっかり聴いていた人間からすると結構衝撃を受けて。
当時ソウルなどのブラックミュージックやユーロビート、レゲエが流れていたり、そこでは新しいジャンルの音楽が一番早くディスコで流れていました。
ヒップホップもその頃から日本にいよいよ上陸してきたっていう時代で、これから日本で流行るっていう時期でした。
最初、僕のDJを始めるきっかけってそもそもロックではありませんでした。
やっぱりロックDJとかロックのDJイベントってほぼなくて、ヒップホップだったりのレコードを集めるようになって、DJを始めたての頃はそういったDJをしてました。ロックはロックで自分の趣味としては聴くんですけどこれをDJに持ち込むって概念はなかったです。
ある日、忘れもしないですけどIDでDJをやってくれっていう話があって、その時はR&Bセットで行きました。だけどそこのレギュラーDJの子が突然ボンジョビをかけるんですよ。それまでダンスミュージックだったのに、急にボンジョビをかけ、そんなことありなのか?って思ったら、すごく盛り上がって。急にボンジョビがかかった時のお客さんの動きがめちゃめちゃ衝撃的で、みんなで大合唱みたいな、フェスになるみたいな。それが僕の中で「ロックってやっぱすげーパワー」ってなって。
その日はそれで衝撃を受けて帰るんですけど、やっぱロックのDJってありなんじゃないかなって自分の好きな音楽のDJをやりたいなっていうマインドができました。
ただ、場所がないどうしようって言った時に僕の友人が東京で696っていうロックDJイベントを立ち上げてたんですよ。それを聞いた時に僕も現場に行こうと思って行ったら、流れる曲全部ロックで、お客さんもバンバン盛り上がってるっていうのを見てまた衝撃を受けて。
名古屋でもこうしたロックのイベントがやりたいと思い、始めたのがアウトオブオーダーという、ずっと続けているイベントです。
それを立ち上げてロック系のDJの人たち集めて最初は手探りでスタートというか、696を参考にしてたんですけど、そしたらだんだん周りも少しずつロックのイベントの流行りができてきていきました。
なので僕のきっかけはそういう形でした。
当時は本当にかける場所がないっていうところから新しく自分たちで作っていったっていう感じです。
A:なるほど。まさにDIY精神から自身でイベントを作られたのですね。
では、ロックDJの中で他のジャンルと比べて唯一無二だなと思うカルチャーはありますか?
C:DJの中でのロックでいうと、一曲のパワーが唯一無二だと思いますね。
横のパワーじゃなくて縦のパワーというか、そういうのはロックにあると思います。
例えていうなら、踊らせるためのサウンドというよりはジャンプさせるサウンドといったところですね。
A:なるほど。
では、ちひろさんの中でのこういったDJがイケてるなと思う基準はありますか?
C:僕ができるかできないか別として一緒に共演させてもらう中でかっこいいなって思うDJは、ジャンルを超えてプレイするDJ。
ずっとロックをかけている中で急にレゲエをかけたり。ただそれがチンプンカンプンな感じじゃなくて、ちゃんとルーツ的には繋がってたりとか。
ジャンルを変えてかけることって飛び道具としては面白いんですけど、お客さんがついてこらないことが多いんですよ。中では滑っちゃうというパターンもあるんですけど、お客さんをそれまでにどれだけ温めてるかが全然変わってくると思うんですよね。それができるDJってすごいなと思います。
A:確かにジャンルレスにDJをするとなると、その分一つのジャンルだけでなく一つ一つのジャンルの知識だったり曲の構成も知っている必要があります。
オタイレコードとの関わり
A:では、次に今回取材をさせて頂いているオタイレコードについてお伺いしていきたいと思います。
弊社がちひろさんがお付き合いをさせていただくきっかけとなったタイミングはございますでしょうか?
C:そうですね、若い頃に社長と繋がりがありまして。
A:井上とはどういった流れで知り合われたんですか?
C:元々挨拶程度の付き合いだったんですけど、話した時に彼もバンドマンだし、元々世代も一緒なので話す共通の音楽の話題ももちろん合いますし、去年、中津川 THE SOLAR BUDOKANでDJをしたんですけど、彼のDJを聞いてると僕ともかぶるんですよ、曲が(笑)
やっぱりマインドが近いというか、同世代を生きる同志というかお互いに社長業をしていて、大変ですけど音楽は同じところが好きだし、やっぱり会えばそういう話になるそういうところが他の人とはちょっと違うかなという風に思っています。
A:では矢場町にあるオタイレコードのリアル店舗「LEBEN」には来られたことはありますでしょうか?
C:オープンの時に伺わせてもらいました。実はLEBENについて、面白い誕生秘話がありまして。実はあそこ、ROADが移転するかもしれない物件だったんですよ。
A:そうだったんですか?!
C:はい(笑)だから内観などについてはオープン前から知ってて。
店内のスタイリッシュな雰囲気的も、DJや作曲機材とマッチしていますよね。お伺いしたときも格好いい店だなという印象でしたし、今後みんなが集まる場所になるなと思いました。
これからDJを始めたい人へ向けて
A:では、最後になりますがDJに興味を持たれている方に何か一言頂けたらと思います。
C:僕らの時代よりはDJになるための機材もレコードも、何ならもうCDも使わない時代になってきて。
やっぱり昔のDJって「こんなレアなレコードかけますよ」とか、「こんなの持ってんの」とか、そういうところがあったんですけど今はそういう時代じゃないので、クラブのDJっていうものを肌で聴いてほしい肌で感じてほしいと思っています。是非現場に行って、DJというカルチャーを感じてほしいです。
A:ありがとうございます!では質問の方はこちらで以上となります。
本日はお忙しいところお時間いただきありがとうございました!
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