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チメロサール含有ワクチンの安全性:コンピューター化された健康維持機構データベースの2段階研究【論文要約/解説/和訳】

Safety of thimerosal-containing vaccines: a two-phased study of computerized health maintenance organization databasesより引用

乳児におけるチメロサール含有ワクチンの毒性の可能性を評価します。
コンピューター化された健康維持機構(HMO)データベースを使用して、2段階の後ろ向きコホート研究を実施しました。

+コホート研究とは要因と疾病発生の関連を調べる観察的研究である。要因対照研究(factor-control study)とも呼ばれる。

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フェーズIは、1992年から1999年の間に生まれた124,170人の乳児の神経発達障害とチメロサール曝露との関連のスクリーニング(審査的な意味)。
フェーズIIでは、フェーズIでの曝露に関連する最も一般的な障害が、1991年から1997年に生まれた16717人の子供の間で再評価されました。神経発達障害の相対リスクは、生後1か月、3か月、および7か月のTCVからの推定累積水銀曝露12.5マイクロgの増加ごとに計算されました。

1992-1999年生まれの乳児=健康維持機構(HMO)のデータA/B
1991-1997年生まれの乳児=健康維持機構(HMO)のデータC

→結果
①健康維持機構(HMO)のデータAのフェーズIでは、3か月の累積曝露により、チック症との有意な正の関連が生じました。(相対リスク[RR]:1.89; 95%信頼区間[CI]:1.05-3.38)
②健康維持機構(HMO)のデータBでは、3か月(RR:1.13; 95%CI:1.01-1.27)および7か月(RR:1.07; 95%CI:1.01-1.13)の累積曝露で言語発達遅滞のリスクの増加が見られました。
③健康維持機構(HMO)のデータCのフェーズIIでは、有意な関連は見られませんでした。ただ、自閉症や注意欠陥障害のリスクが大幅に増加した
→結論
チメロサール含有ワクチン(TCV)と神経発達の結果の間に一貫した有意な関連は見つかりませんでした。特定の結果について、異なるHMOで矛盾する結果が見つかりました。
矛盾する発見を解決するために、累積的なチメロサール曝露の範囲を持つ子供たちの均一な神経発達評価による研究が必要です。

■まとめ
チメロサールの含有ワクチンについてこの研究では、それぞれの群で異なる病状のリスクの増加が確認されている為、この調査的な研究結果においては単一の物質として一貫した病気の原因であるとは言えない。
しかし、それぞれのリスクの増大に関連は見られた為、更なる評価が必要となります。



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