前期オンライン授業ふりかえり

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どうやら前期のオンライン授業が終わったらしい。

正確には期末課題の採点や講義科目の補足動画の作成、成績評価が残っているので完全には終わっていないのだが。

確認された課題や、今後の展望もふくめて前期のオンライン授業についてふりかえっておきたい。

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非常勤先は学年暦通りに授業が進行した。第1週目はLMSの存在に気づかず、開講することができなかった。第2週目の直前にLMSの存在に気づき、Youtube Liveによるオンライン講義を開始することができた。できなかった第1週目のぶんにかんしては、補講をすぐにおこなった。非常勤先は大学の規模がコンパクトなこともあって、LMSがパンクすることもなく、小テスト機能もすぐれており、全体を通じてストレスなくオンライン授業を遂行することができた。毎回のライブ授業、授業後のアーカイブ動画の配信、コメントメールの回収。これをたんたんとくりかえして、期末試験をLMSをつかって行った。

本務校もふくめて、オンライン講義で使用したツールは以下のとおり。

Youtube Live
配信インフラ。配信と同時に録画され、アーカイブを配信終了後にただちに公開することができる。通信が安定している。学生もなれているので最も受講しやすい。

ニコニコ生放送
配信インフラ。インタラクティブ性を重視して、一部の授業で使用したが、配信品質に難ありで、1ヶ月で使用中止。

OBS
配信インフラに講義画面の信号をあれこれアレンジして送信するツール(=ソフトウェアエンコーダー)。

Loopback
仮想ミキサーがないmacOSでマイクとその他のアプリの音声を合成するアプリ。

Farrago
BGMやSEをボタン上に配置して、ワンクリックで流すためのアプリ。あるといろいろ遊べるが、こりすぎると学生にあきれられる。

mmhmm
Evernoteの開発者がつくった、クロマキー合成画面を簡単につくるアプリ。OBSに仮想カメラとして読み込ませると、ライブにグルーブ感が生じる。設計思想からマウスポインタが表示されないので、スライドの内容を指示するのが難しい。

WorkFlowy
オンラインで動作するアウトラインエディタ。トピックごとに内容を共有できるので、これで板書をして、授業後に共有URLを配信して復習用とした。

上記のツールを使って、画面づくりにこるうちに、Youtuberのような画面になっていった。

少人数制の演習授業については、当初はYoutube Liveによるライブ配信をベースにSlackの通話機能を用いて学生とやりとりしていたが、だんだんしんどくなって、途中からDiscordに切り替えた(Zoomは使わない)。

Discordはオンラインゲーマー向けの通信アプリなので、音声がクリアかつ遅延がなく、声がかぶっても聞き取りやすいメリットがあるが、ビデオ通話が25名までだったり、画面共有が不安定だったり、録画できなかったり、操作感やUIにクセがあるのが難点だが、Zoomよりも利用の敷居が低いのが良い。また、授業ごとにチャンネルをつくり、そこに学生を登録することで出席確認が簡単になった(オフラインになっている学生だけを書きとめておけばいい)。

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オンライン授業は、配信クオリティを上げればあげるほど、対面授業に劣る部分が目につくような気がした。とくに、mmhmmを導入したあたりで、Amazonでグリーンバックを購入し、なかなかうまく画面にグリーンバックがおさまってくれずにいろいろ微調整するあたりで、「おデはいったい何をやっているんだろう……」という気になってきた。

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講義のオンライン化は授業内容を論理的に視覚化させ、先鋭化させることを強いる気がする。当初はゆるゆるリアルタイムでトークとともに板書をするつもりだったのが、あらかじめWorkFlowyでガッチガチの板書を作ってから、授業に臨むようになっていた。これではあっという間に授業が終わってしまうのではないかと思って作った内容が、いざ話し始めると半分も終わらないという事象に遭遇した。

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なんだかんだで、講義に関してはYoutube Liveをベースにライブとアーカイブ配信を併用するのが安全という結論にたっした。

チャットの内容が画面上に表示されるようにして、双方向性を持たせたことで、マイクをオフにしたまましゃべっていることを何度か指摘されてことなきをえたこともあった。

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どういうツールでやるにせよ、不慣れだからうまくいかない、というフェイズは終わったように思う。今後、オンライン授業がつづくとすれば、オンライン状況に適した授業スタイルの模索が重要になってくるように思う。講義はその限りではないような気もするが、演習にかんしてはおおいにそうで、反転授業などを積極的にとりいれたほうがよいように思われた。

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