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『ストーリーで語る』〜ありがとうを伝えたい〜

自分のこれまでの歩みを言葉にしてもらえた。それも自分よりずっとずっと若くて利発な人に。
嬉しくて嬉しくて、ちょっぴり悔しい。でもやっぱり嬉しい。

今は、感謝の気持ちを抱いている。

この本を読んで、いろいろなことを思い出した。いろいろなことを考えた。だから、ちゃんとレビュー書けるのかなって1週間迷った。でも書かなきゃいけないと思った。

『ストーリーで語る』秋山楓果 著 CCCメディアハウス

私は、コピーライターとして17年ほど仕事をしてきた。
コピーライターとは言葉を扱って、商品などを、世の中に魅力的に見せる仕掛けを考える仕事だ。
長い文章を書くライターとは違って、短い文章の中で、訴求したいことをぎゅっとまとめることが多い。

まだ駆け出しだった頃、上司だったか先輩だったかに言われたことがある。

「人はストーリーがないと読まない」

そう聞いてからは、当時、毎日のように書いていた洋服や雑貨の商品コピーにもなんとかストーリーをつけて書こうとずっと思ってきた。もちろん媒体の性格上、ストーリーにしづらいことも多かったけれど、できる限りストーリーで読者を引き込みたいと意識し続けてきたと思う。

商品コピーを書いて書きまくっていたあの日々。通勤電車の中でも、トイレで一息いれるときでさえも、どうやったらあの短い中にストーリーを付けられるんだ?と考えてきた。

短い文章の中に熱量を込めて、考えに考え抜いて書いていた。だからこそ媒体が無事に世の中に出ると嬉しかった。自分が書いた文章、何度も読み返していた。

この本は私にその時代を思い出させてくれた。原点に少し回帰した気分。

あっきゃんさん(著者の秋山さん)は20代の若い女性。国語が苦手だったけれど、いつかnoteで発信ができるように、まずTwitterの140字からと文章修行を始めた。

Twitterを使い、発信していくために、一つひとつ熟考を重ねながら、140字に取り組んでいく。自分の周りにある日常をストーリーに落とし込み、何度も推敲を重ねて、発信する。

そして彼女は出会う、「ストーリーテリング」という言葉に。

Twitter界のストーリーテラーとして世界を広げていく。
さらに、自分の事業まで立ち上げてしまう。

すごい。

でも、そこに至るまでに彼女の中で様々な紆余曲折があり、たくさんの経験があった。彼女が悩みながらもしっかりと生きてきたからこそ、ストーリーテラーとして新たな世界を広げられたのだと思う。

私自身が読み進めていて、ポンと膝を打ったのが、あっきゃんさんが「ストーリーテリング」という言葉を知ったくだり。

「コピーライティングもストーリーテリングだな」

そう思った。
ただ、人間としての振る舞いや考え方は、私が20代だったころより、あっきゃんさんはすごく大人なので、同じだ、仲間だなんて恥ずかしくて言えません。

そうじゃなくて。私がずっとやってきたこと、必死で取り組んだことをまとめてくれた。言葉で伝えることの難しさ、大切さ、どれだけ時間がかかるかということも、しっかり書いてくれた。

だから嬉しかった。一読者として、「ありがとう」を伝えたい。

そして、もし可能ならば…。いつか彼女のお仕事をお手伝いしてみたいと思った。コピーライターとして鍛えた力を使って、協力できる日が来たらいいな…。そんな夢を抱いた。

ありがとうございます。