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季節がぼくだけを変える

夜風が涼しくなってきて段々と心地の良い日々が訪れようとしているのを感じる。今年の夏は暑かったという印象しかない。日中は未だに茹だるほど暑いし冬まではまだ遠いのかもしれないが確実に近づいてきていることは分かる。

久しく会っていなかった者に会うと、良くも悪くもその者に変化を感じてしまう。あんなにおちゃらけてた奴でもちゃんと大学に進学してたり就職して毎日頑張ってたり、よく遊んでいた当時を思い出すとそのギャップが凄まじく笑ってしまう。

ぼくって陽キャだったのかもしれない。しかもぼくが忌み嫌っていたタイプに近しいタイプの。まぁ流石に陽キャは思い上がり過ぎだし決してそんなことないってのはもちろん自負してるけど、ある程度は楽しい人生を歩んでいるのが確かに思えるようになった。というのもつい先日、高校時代の同級生2人と久しぶりに会ってきた。3年間仲が良く、校内では常に共に過ごしてきたような奴らだった。しかし、ぼくの当時の性格もあるが、放課後から休日まで、学校以外の時間には会うことすら基本ないぐらいの奴らでもあった。ぼくの高校時代はとても充実していると言えるものではなかった。ろくに勉強もせず、休日は家に引きこもりもっぱらスプラトゥーンをしていた。友人に遊びに誘われても申し訳なさを微塵も抱かず断っていたし、スプラトゥーン以外にやる気のあったことなんて何も無かった。思い返してみれば、中学時代はサッカー部で、カースト的にもある程度の地位にいたと思う。高校に入学して2日目からバックれたサッカー部にあのまま入っていれば、ぼくの高校生活はもう少しは華やかであったかもしれない。大学に進学し、友人と朝まで飲んだり、夜中にドライブしたりと、高校時代もあれはあれで楽しく過ごせてはいたものの、決して大学デビューという程にぼくの中身まで変わったわけではないが、傍から見ても明らかに充実していると言えるようにはなった。

3人で焼肉を食べ、同級生の内の1人が高校時代に惚れ込んでいた女の子に連絡をして呼ぼうとしだした。ぼくはその子のことがあまり好きではなかった(ひねくれてたから自分以外全員を見下していただけだが)し、乗り気では無かったのだが、酔った彼は止まらなかった。結果的にその子はバイト中で、その子がバイトしている居酒屋にハシゴすることとなった。最近食欲が増大しているぼくは、飯が食えるならいいかと思い付き合うことにした。その子は当時とは打って変わってピンク髪のツインテールで、ぼくの嫌いなタイプの落書きみたいにベタベタとタトゥーを掘っている奴に成り代わっていた。せっかく2軒目に来たからにはワイワイやりたかったのに、どうやらぼくとその2人の飲み方には差があるようだった。

ぼくはある程度、気の使い合いってのは必要だと思うんだよ。話題提供とかさ。どんなに仲が良くたって話すことがないタイミングって絶対あるじゃん。常にぼくがテンション高く会話を回して疲れちゃった。中学の同級生や大学の奴らと遊ぶ時に、ぼくが辛いなと思うほどこういう事を意識するってほとんどないんだよ。相手の会話にちゃんとリアクション取ってあげるとか、こういう細かいことってどんな仲でも大事だと思うんだよ。人と関わりたがる以上、最低限のコミュ力が必要だと思うんだ。なんで2人に誘われて行ったぼくが頑張らないといけないんだよ。お前らがぼくを欲して車まで出させたんだから楽しませてみろよって。

前述した、ぼくが陽キャだったのかもしれないってのは、あくまでこいつらよりはって話ね。1人は田舎の大学に行ったからそもそも遊ぶ場所が無いってのもあるっぽいけど、居酒屋のピンクちゃんに惚れてた奴は大学の奴と飲みに行ったりはよくしてるらしい。そいつは同じ高校出身のぼくらとはまた別な男と一緒に男女含めてよく遊んでいるらしく、その男が今どんな感じなのか気になって写真を見せてもらったら、男は冴えない感じだしそこに写ってた女の子も芋っぽい感じで、なんだかなぁって感じだった。こういうのも全部ぼくが聞き出してさ、頑張ってたんだよ。これを読んでるあなたはぼくの頑張りを認めてくれ。

ぼくが彼女が出来たことを伝えると、「高校時代は仲間だったじゃねぇか」みたいに言われたものの、「ぼくはお前らに話していなかっただけで1個上の彼女がいたし、球技大会終わりに2人の子とLINE交換したし、地元の祭りに行って他校の2個上の子と仲良くなって文化祭にまで行ったんだよ。絶対にお前らと一緒ではない!」と怒鳴りつけてやりたかった。こうやって覚えてるぐらいだから、もしかしたらぼくってモテるのかも!?とか期待してたけどモテるわけではないのはちゃんと分かってるよ。でも決して非モテなお前らとは違うって、それだけは言ってやりたかった。それぐらいになんだかイライラした。

ぼくがめちゃめちゃ痛い奴だって思われたくないから最後にもう一度だけ言っておくけど、ぼくは自分が陽キャだとかイケてるとかモテるだなんて決して思ってないからね。あの場ではイライラしてたから、「お前らよりはマシに生きてるよ!」ってマインドになってただけ。落ち着いてあの場を振り返ってみると、あの場を上手いこと捌いて、それでいて下には下がいると感じられて、自分の成長を知れた良い機会ではあったね。

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