ひらがなの『も』が如何に美しいかを自分に言い聞かせる

愛車を手にしてから2年が経とうとしている。もう自分で自由に乗れる車がない生活なんて想像出来ないほどにぼくには欠かせないものだ。1年待ちな人気車種ではあったが、カラーリングもグレードもこだわり、将来的に返すという約束のもと、おじいちゃんに買っていただいた車。返すつもりではいるものの、返すよりも先におじいちゃんがくたばってしまえば返す必要がないかもしれないと期待してしまう。

納車を待つ約1年間、YouTubeでその車の動画を見まくり、車内をどの様に彩るかなどをほぼ毎日考えていた。そんな中、一つだけ不安要素があった。それは、『ナンバープレートのひらがな、何になるか問題』である。ぼくはナンバーも自分で決めるぐらいこだわりを持っていた。しかし、ナンバーのひらがなは選べないということを知って以来、ひらがなが何になるかという不安を忘れたことはなかった。タイトルを見てもらえば分かるように、ぼくのナンバープレートのひらがなは『も』だった。特に不満があるわけでもなく、ぼくの選んだ4桁のナンバーとのバランスも悪くなく落ち込みはしなかったが、どうせならぼくが1番好きなひらがなである『ゆ』であって欲しかったというのは否めない。ここでは、如何に『も』が素晴らしいひらがなであるかを自分に言い聞かせていきたいと思う。

先ず、『も』の見た目の美しさの確認をしていきたいと思う。『も』のビジュアルで最も重要視すべき点は、ラストの捲り上げであると考える。重力に逆らったこの放物線は、その見た目と等しく、我々に上昇志向と共に勇気と活力を与えてくれる。下に丸みを帯びていることで腹ぼったい印象も与えるが可愛らしくも思える。ラストの払いが上に向かうことで、次の文字の1画目への移行もナチュラルに可能にしており、自分だけでなく、他の文字への配慮も欠かさない優しさが垣間見える。1画目の書き出しが、上部にあるというのも、書き手が書いている最中の周囲から見たモーションの見た目にも考慮されており素晴らしい。そして、この文字はひらがなの『し』の改良系であり、『し』の前半の余白の寂しさを埋めることに成功している。『し』のメインである下方向への丸みを邪魔しない、良き改良が施されている。このように、『も』はとても美しいひらがなであることが分かる。

次に、前述の通り『も』は、ぼくの選んだナンバーと見た目のバランスが良いのだ。ナンバーの公表は控えるが、縦長なフォルムで統一された4桁と見事にマッチしている。図らずもこのような結果となったわけではあるが、また車を買う機会があるならば、予めどんなひらがなにも対応可能な4桁にしておきくべきだという教訓を得られた。ありがとう。

3つ目に、彼女の名前の頭文字が『も』なのだ。ぼくが最も求めていた『ゆ』は、ビジュアル的な美しさもあるが、何よりぼくの名前の頭文字が『ゆ』であることが、ぼくが最も『ゆ』を欲した理由であった。助手席に頻繁に乗る者としても、ナンバープレートのひらがなが『も』であるというのは喜ばしいことであろうし、むしろこれは彼女が、ぼくの車の助手席に乗るに相応しい人物であることを示しているとも言える。『も』に縁もゆかりも無かったぼくだが、これにより『も』への愛着は増すばかりだ。

4つ目は聴き心地であろう。『も』はローマ字のmから始まる。mから始まる文字というのは何故か柔らかい印象を与える。それにより『も』からも取っ付きやすさを感じ、器の広さを感じる。『も』とは、来る者拒まず、去るもの追わずなひらがななのだ。

段々と『も』が当たりなひらがなに思えてきた。きっとみんなも、「このひらがな好きにならなきゃなんだよな〜。でもイマイチ良さが分からないな〜。」なんて時があると思う。その時はぼくに任せてくれ。「そのひらがな、最高ですよ?」ってのを教えてあげる。

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