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カフェで読むのにちょうどいいデザイン本【名前のないデザイン】

非デザイナーの方々に「デザインとはなにか」を説明するのは非常に難しいです。一般の方は、デザインというと「カッコいい何か」という漠然としたイメージをお持ちだと思いますが、それは正確ではありません。

デザインに関する本は、近年HOW TO本が豊富で、配色をどうするとか、余白をどうするとか、かなり具体的なものがたくさんあります。また初学者向けの本も充実しているので、「本格的にデザインを勉強したい人」にとっては参考資料が多いのですが…

「デザインってなんぞや? いや、別にデザイナーになりたいわけではないけど、好奇心はある」

という方に、教養的な感じでオススメできるのが、【名前のないデザイン】という本です。

何について書かれているか、というと…

・コンテナが流通と商業をどう変化させたか
・バリケードによる行動心理
・偽造証明書と、それを求める理由、人の価値評価のゆらぎ
・シェアードスペース(交通標識などを撤去し、車道と歩道を分けない空間)
・購買意欲は製品の品質によるものとは限らない

などなど…一見するとデザインとはあまり関係のなさそうなものが並びます。

例えばコンテナの話。

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コンテナとは、輸送で用いられる収納容器です。コンテナが生まれる前は、輸出入をする業者が各々の容器に物をいれて、船で輸送していました。それを積み込み・積み下ろしする専門の仕事があり、時に何日もかけて行っていました。ところが なんやかんやあって(この「なんやかんや」がまた面白いのですが!)、大きさや素材が統一された「コンテナ」という発明により、積み込み・積み下ろしがスムーズで効率的になり、結果世界の流通が大きく活発化した、という歴史が取り上げられています。

このように、モノや概念の発端から時代背景、そしてなぜ現代の形へと変化していったのかが順序立てて解説されています。

あるモノを取り巻く社会の動きをたどっていくことで、それが「人為的に計画されて起こったこと」なのだと理解できます。上記のコンテナの例でいえば、なんとなく便利な大きさの丈夫な四角い箱…が作られたわけではなく、様々な思惑や理由があり、なるべくして現在の形になっているのです。

そしてこの「人為的に計画」する事が、デザインといえるのです。

本としてとても読みやすく、軽い感じで読み始めることができるので、休日に喫茶店で読むにはすごく丁度よいボリュームだと思います。気になった方はぜひサンプルページだけでもパラパラっとご覧ください。


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