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あの頃を解放する

先日、#無制限あそび という体験イベントに参加した。
親子の絵の具あそびだ。

10年前、タイプは違うけれど、親子の絵の具あそびに参加したときの敗北感を思い出したので、綴っておこうと思う。

まず、私は、子どもの頃から図工が好きで、家でもちょこちょこ絵の具で遊んでいる。けど、家でやると、準備したり、子どもの動きを追ったり、後片付けに気を使うので、たまに自分も参加者になれるイベントに参加している。


今回、イベントに参加したのは、フリーペーパーhugmaの取材だった。
インスタで見かけたサヨさん にコンタクトを取り、取材をお願いした。
「やめて〜」と制限をかけないでいい絵の具あそび、に惹かれた。

トロッとした小麦粉えのぐを触ってみる


ぐちゃぐちゃにしてもいいし、さわれなくてもいい。
それを認めてあげる。


サヨさんのお子さん自身、汚れるのが苦手で、すぐ手を洗いたくなるそう。
それを知っている大人が場を作っているってのは、安心材料だと思った。


思い出話をしよう。
10年前、友人が関東から講師を呼び、宿泊型のイベントを企画してくれた。
仕事復帰して、日々ドタバタと過ごしていた私は、そのイベントを楽しみに、それを励みに頑張っていた。
神奈川でシュタイナーを基として、親子のあそびを提供している篠秀夫さん。

「この大人はきっと楽しいぞ!」オーラが滲み出ていて、体操というか身体を動かすあそびから、絵の具まで、子どもたちの食いつきがよかった。絵の具まみれになった大きな紙の上に転がって、みんな楽しそうだった。
ただ、我が子は私から離れない。
完全に空気に飲まれている。

「も〜〜〜なんでやらないの?ママはやりたい」
そう伝えても、「一緒にやろう」と誘っても、動かない。イライラが募る。

私も子どもも、発散するはずたったのに。

その夜は子どもたちを寝かせてグダグダ喋る。けれど我が子は全然寝ない。
悔しくて私は布団で泣いた。
「寝なくてもいいじゃん、一緒に降りておいでよ」と声をかけられ、しゃべっていたけれど、どんな話をしたかは覚えていない。

ふりかえると、だいぶ、だいぶ、お疲れだったね。
鬱、だったかもしれない。
ワンオペだった訳じゃないし、育児仲間もたくさんいた。
けど、疲れ切っていたなと思う。
ただ、その時は、走り続けるしかないし、そこまで疲れている自覚がなかった気がする。

自分の思いが強すぎて、子どもの思いに寄り添うゆとりがなかったんだろうな。



今回、汚すつもりで着ていった白いTシャツは綺麗なままだった。
今回も、予想外に、絵の具に興味を示さなかった。

けれど、私は焦らなかった。できなくてもいい。
素足のまま芝生の上を歩いたり、蟻を眺めたり、落ち葉を拾ったり、絵の具とは関係ない時間を過ごした。

私、ちょっと大人になったかな。

ドタバタな日々は10年前と変わらない。
親として慣れてきたのか、余裕ができたのか、成長したのか、よくわからないけど、できないことに執着していない自分がいてよかった。


上部だけを見たら、できなくて残念、なんだけど、
イベントに参加したことで久しぶりに素足で歩いたし、「そっち行かないで〜」と制限かけない自分も見えたし、風を感じながら豊かな時間を過ごした。

これは私のイケてないスマホ撮影…


私がイマココを堪能している間に、カメラマン(堀洋美)は素敵な写真をたっぷり撮ってくれていた。
ありがとう。



帰り道、この10年前のことを思い出し、「がんばってたね」と認めてちょっと泣いた。



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