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Canvasさん×9thCOTコラボ企画 第3期COTスタディツアー参加のまとめ(雑感)

協業・コラボレート・共創
全て似たような言葉ですが,この中でも「共創」には新しい価値を創り出すというイノベーティブな意味が込められています.

今回はこの「共創」を企業理念に取り入れている株式会社Canvasさんと第9回日本臨床作業療法学会(9thCOT)のコラボ企画であるCOTスタディツアーに参加し,個人的に重要だと感じたことを要点に絞ってまとめました.

Canvasさんのスタディツアーはどんなことをして,どんな3日間になるのか,という概要が分かるものについては過去にhttps://twitter.com/@mr_gappai がっぱいさんが非常に分かりやすくまとめられていたので,そちらを参考にされるとよいかと思います.



僕のまとめの方では,あまりツアー内容自体には触れず,

スタディツアーで学んだ思考
・その考えから回復期で働く作業療法士が持つべき今後のキャリア戦略と精神性は何か

といったような点に焦点を当てていこうと思います.あくまで自分自身の振り返り用で私見です.




アプリケーションとOS

Canvasさんは健康経営というコンセプトで地域の産業領域に作業療法士等(理学療法士)が参画するという形を取っている.だが,医療の世界の住人がどのようにして産業の世界に入っていくのか.
ポイントとなるのは,作業療法の専門性とはあくまで自分というOSが持っている手段であり,つまりアプリケーションである.作業療法という手段はあらゆる可能性を持つものではあるが,OSという社会と接続する媒体(社会価人基礎力,社会や産業と繋がる土台)をアップデートをしないと,作業療法という手段を社会でどのように用いるべきか,そのプロセスやモデルを構築できないという点が重要であった.

・回復期OTはこれをどう活かすか

回復期で働いている方で,自分たちの専門的な実践を活かすためにはクライエントはもちろんのこと,家族や医師や看護師などの他のコメディカルとの関係性からどういった意思決定を行うべきか,戦略立てていくかということを常に考えていると思います.所謂,多職種連携,チームアプローチ,チームマネジメントですね.

では今病院で働いている方で,病院の外や,地域,特に医療従事者以外の分野(産業)で働きたいと考えている人は,自分が医療保険領域で磨いてきた連携技術は外の世界でも通用するでしょうか.これは飛び出す世界にもよると思いますが,病院(医療保険)という独特な文化や世界観と,その外の領域で必要になるマネジメント(の能力や経験)は全く勝手が違うと考えるべきではないでしょうか.
そのような前提があるとして,病院の中でうまくやりくりすることだけを勉強,経験するだけでは外に飛び出すのは非常に難しいかもしれません.病院で働いている方は医療保険外,なんなら医療従事者以外の人や,組織,文化を学ぶための行動を起こしてみてはどうでしょうか


自分が取り組んでいる課題を俯瞰的にみる

例えば,縄跳びを飛ぶのが最高に上手なプロがいたとする.公園で遊んでいる子どもたちの所へそのプロが行って,子ども達の好き嫌いなどに関係なく,「縄跳びを覚えておくと将来とても役に立つから一緒にやろう」といって教えたとする.喜ぶ子どももいるかもしれないが,縄跳びなんかやりたくないという子どももいるだろう.なんならその子どもの親から「勝手に何をしているのか」と怒られるかもしれない.
自分の得意領域を押し付けるような,プロダクトアウトな組織還元は誰の財産になるのか.それは組織の財産に本当になり得るのか.組織のユーザーペインに合致しない個人の努力の押し売りは,結局強い成果(波及効果)を生まない.職場のユーザーペインをマーケットイン(カスタマーイン)で明らかにしていく視点が重要.そして自分が解決に活かせる専門性を強みにして,継続可能な仕組み(自分が居なくなってもなくならない仕掛けを作る)を提供することが重要.

・回復期OTはこれをどう活かすか

病院で働いている方で,自分の興味のある領域を真剣に学び,それを後輩に教えて伝えているということをしている方は一定数いるのではないでしょうか.でもそれは本当に組織(従業員,管理者,経営者全てを含む)からみて本当に一番取り組んで欲しいことでしょうか.
わざわざ時間を割いて自分の学んできたことを,自ら積極的に組織に還元しようという人材はそれだけでもありがたいと思います.ですが,管理者の視点に立つと,もしかしたらそういう人材は既に多く存在していて,本当はあなたにもっと違うことを役割として期待しているということはないでしょうか.またその仕組みはあなたが居なくなったら機能しないものになっていないでしょうか.持続可能な仕組みではなく個人に依存的な仕組みでは個人も組織も停滞してしまう危険性を孕んでいるかもしれません.

ただ注意点として,考え方自体のマーケットイン(カスタマーイン)と比べてプロダクトアウトは絶対にダメというわけではないという意見もあるようです.既存の戦略ではなく,新しい価値(市場)を創り出すことを目的としているのであればプロダクトアウトが成功する可能性もあるかもしれません.ですが,個人的にはクライエントの声を聞かないイノベーションはあまり作業療法にマッチして欲しくないと感じます(笑).
とにもかくにも,病院に入院するクライエントに作業療法を提供する.その構造自体はプロダクトアウト化してしまっており,既に市場も成熟しているため,最早数としての需要は満たされてしまい,マーケットイン(カスタマーイン)の思考に切り替えなければ価値のある人材として活躍は難しいということは意識しておくべきという話なのだと思います.



リスクの高い挑戦をすること

生活が破綻する,命の危機があるようなリスクを除き,リスクの大きい挑戦をしなければ自分自身のアップデートには繋がらない.

・回復期OTはこれをどう活かすか

回復期で働く方の対する,高いリスクとは

・積極的に外(地域,社会)に出ていくこと(異動,転職)
・時間と金を掛けて何かを学ぶこと(社会人大学院など)

などが挙げられるかなと思います.僕自身もそうでしたが「高いリスクをとって挑戦しても,結果がすぐに出ないんじゃないか.その挑戦は徒労に終わるんじゃないか」という恐怖心を感じる人が多いと思います.
しかし,その時点での視座における成否で考えると失敗だと感じたとしても,その挑戦は自分を次のステージへ上げることに繋がります.そして,もっと未来の立ち位置から,その挑戦を見つめ直したとき,それは無駄ではなかったと思える可能性は大いにあるのではないでしょうか.
今一度,今一番強い認知的負荷から逃げないこと.自戒を込めて.



200%職場でやりきること

今の自分の領域で全てやりきらずに自分の専門外に出ても〇ぬ.

以上(笑).

まとめ

・組織のユーザーペインを探る
→組織への作業療法面接

・プロダクトアウトではなくマーケットイン(カスタマーイン)で組織と個人にアプローチする
→自分の強みだけを活かそうとするだけではなく,組織の視座からはどのような問題意識を持つべきなのかを見極めていく.

・リスクの高い挑戦に対する成果(見返り)は即時的にではなく長い目でみるように考える.
→なんか個人的には投資(資産運用)に対する考え方とは逆で面白い.

・組織内で自分が役に立てる,挑戦できると思う課題はやり尽くすくらい取り組む
→問題から逃げて外に行くのではなく,やりきって外に行くという気概.


さいごに

実はCOTスタディツアーには本当に大きな不安と緊張の中,参加しました.ですが,高い志や探求心・覚悟を持つCanvasさんの藤井さん,元廣さん,一緒に参加したメンバーと3日間過ごしたことで,おそらくこれまでセラピストになってからの人生で最もエンパワメントされた時間になりました.そのせいか,普段はお酒も全然飲めないし,すぐ集中力が切れて眠たくなる人なのですが,ツアー中はいつも以上に酒を摂取するもほとんど酔わず,睡眠時間も短いのに常に目が冴えているという覚醒状態でした(笑).それだけ自分にとっても大きな意味を持つ機会となったことには感謝しかありません.

とりあえず今は,自分の専門性と仕事とそれをとりまく職場の問題について一度俯瞰的にみるためにゆっくりとリフレクションする時間を取りつつ,最優先すべき課題に脳力を回したいと思います.

Canvasさんは今後大きな業務転換を迎える時期が来るという話もされていまして,より大きなチャレンジをされていくようでした.なので,今後もスタディツアーが同じような頻度で開催されるかはわからないと思います.是非興味がある方は,また次回以降の募集について随時チェックされるとよいかと思います.

藤井さんhttps://twitter.com/hi_fujii 
元廣さんhttps://twitter.com/Canvas_AM

ここまで読んでいただきありがとうございました.


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