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テレビ局はコロナ禍から立ち直ったか〜2021年度第2四半期決算より

テレビ局の放送収入はコロナ前に戻せたか?

今週、キー局の第2四半期決算が出揃った。業界諸氏が気になるのは、コロナ禍で大きく沈んだ放送収入が持ち直したかどうかだろう。

MediaBorderではキー局の経営状況を、放送収入に絞って解説してきた。各局上場しているが、ホールディングス体制なのでグループ全体の数字を見ても「放送事業」がどうなのかはわかりにくい。中核会社であるテレビ局本体の「放送収入」を見るのが、テレビメディアの現状把握には重要だ。

そこで今回も、各局の放送収入がどうだったかを表にまとめてみた。いつもは、タイムとスポット、及びその合計額と前年比を並べている。だが今回は、前年比よりむしろコロナ前の2019年との対比が重要だ。そこで「前々年比」も表に加えた。

2021第2四半期放送収入

前年比で見ると、タイム、スポットともに大きくプラスに転じている。そして前々年比、2019年と比べるとほぼ戻せている。テレビ朝日はタイムで戻せているどころか3.8%も伸ばした。テレビ東京もスポットで5.9%とむしろコロナ前より大きく増やしている。

MediaBorderでは世帯視聴率重視だとネガティブなことを書いてきたテレビ朝日だが、この1年間で若い層向けの番組を増やしたのが功を奏したのかもしれない。テレビ東京はネットワークが大都市圏のみなのがプラスに働いたのではないか。このあたりは背景を知っている方がいたら教えてほしい。

だが1局だけ、このV字回復基調に乗り切れなかった局がある。上の表で一目瞭然なように、フジテレビだけ元に戻しきれていないのだ。これはいったいどういうことだろう。背景を調べてみたいところだが、私の目からひとつ言えることがある。

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