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リコリス・リコイルはなぜ、おもしろかったのか?

本考察の前に、日本というアニメ・マンガ神国における重要な消費者として、全オタクに尊敬の意と、作者ならびに感謝と敬虔の意を示す。

アニメの要素を分解してみる

漫画やアニメを問わず、創作物を「おもしろい」と感じるのは個人差があり、その個人差が出る要素の多さ=大衆ウケ だといえるなら、各要素を分析することでなぜ「おもしろい」と評判になっていたかの謎が解ける。

世界観:舞台としての設定。これまでの作品にない前提や設定が
    時の消費者心理に刺激を与える。

    i.g.) 転スラ、五等分の花嫁、BLEACH
キャラ:主人公やヒロインの圧倒的な愛らしさが
    もはや作品全体への愛にさえ影響を持つ。

    i.g.) リゼロ、俺ガイル
構成 :伏線やEDの迎え方、話を盛り上げるオンとオフの使い方。
    i.g.) シュタゲ、灰と幻想のグリムガル、進撃
アート:作画の綺麗さや日常の背景、バトルシーンの緊張感、挿入歌など。
    i.g.) 化物語、東京喰種、Fate

「鬼滅の刃」を例にすると、
鬼にされた人間を倒す世界観、純粋すぎる心の主人公や仲間というキャラ性、バトルシーンの切り方、圧倒的な作画とOPEDの曲のマッチ。
こうした各要素の総合点が評価につながっている。


リコリス・リコイルを紐解く

世界観:平和な世界はJKがテロから守っている♡
    実に新しい。政府機関ないし秘密組織が大々的に平和を守る、
    というのは設定として個人的になるほど!と感嘆した。
キャラ:千束が可愛すぎる。白髪、ショート、巨乳、大雑把、オシャレ
    つまり全男性の嫁にしたい要素が福袋化されたキャラだった。
    
そして、この萌え要素が「ふっ、俺最強ぇ」な男ではなく
    たきなという表情を出さない「女の子」に向かうのである

結論をいうとここに尽きるでしょう。
その上で、他の要素を語るけど、優先順位が美しかったと思うんだ。

構成 :下記に各話の要点と要素をまとめてみた。
    シンプルでないかな?というのも、線が絡まっていないのよ。

    12話で実現できる伏線回収やキャラ関係は限られているので
    主人公仲間合計5人、敵1人、黒幕2人、旧組織約3人…と
    登場人物の少なさと話の展開のシンプルさが
    他のキャラを愛したくなる気持ちを
    そのまま気持ちよくそうさせてくれる。


    そしてシンプルな構成だからこそ、
    1話の中に「萌」を多く詰め込めるんだわ。
    日常会話やギャグシーンといったオフが多いところ。

    こうしたキャラを愛させてくれる構成、と考えると
    難しいだけが構成のうまさではないと勉強になるね。

アート:最後にアート性が活躍したのは、
    ここまで十分愛し始めた気持ちの矛先を用意してくれた。
    CMの挿絵や作中のキャラ、いや正確には千束のファッションは
    推しキャラへの想像を掻き立ててくれる。

    こんなクールな描写も似合うのか、こんな服も似合うのか、と
    ファンがグッズや二次制作のイラストを愛しやすくさせている。
    (これはさすがに重オタクの領域になっちゃうけど)

    毎回CMになるときにでも、
    今回はどんな挿絵が、ふふぁぁぁ!?!?!と
    Twitterが盛り上がるのも大納得のアート性でありました。


各話の感想

1話 Easy does it

主人公のもとに左遷させられたエリート候補。
本部に戻りたいという気持ちが強い中で、
外部でより活躍する先輩との対比が
キャラや衣装、立場として綺麗に描かれてたね!

「ゆっくり、慎重にね」という主題はたきな向けなのかな。

2話 The more the merrier

天才ハッカーくるみが仲間に加入するエピソード。
銃撃戦2回目で主人公の戦い方に視聴者を見惚れさせつつ、
今後のバトルが組織化するうえで欠かせないハッカーの獲得は
近代バトル作品として綺麗な運び方。

「多ければ多いほど、楽しい」は仲間のことだね!

3話 More haste, less speed

本部に戻りたいたきなに別の道を示し続ける千束。
本部のエリートよりも強い=やれることの多さ を見せられたことで
たきなの心の中にも変化が出てきた「急がば回れ」

4話 Nothing seek, nothing find

作中で一番の抜きシーン。下着を買いに行く、というオフのエピソードながら、黒幕の示唆や敵キャラの登場など、後半に繋がる変化がてんこ盛り。
「探さなければ、見つかるものも見つからない」
これは千束への、だったのかな?

5話 So far, so good

「人工心臓」の話が出る=主人公の弱みが出てくる。
半分に差しかかる前で、主人公がどういう結末を迎えるかの初期微動が起きながら、本編に関係ないと思われた依頼が黒幕の仕業とわかる、作品としての方針も見えてきたお話。「いまのところ順調」

6話 Opposite attract

千束の部屋着の可愛さが見えながら、DVD作品の趣味、調理器具、本など、私生活が見える描写はオフ。
敵との再会、目を潰されて主人公の強みが負ける方法が判明しての敗走。
直接のバトルシーンで主人公が負けた、という進め方もすごくよき!
「反対ものは引かれ合う」

7話 Time will tell

先生とシンジの関係が明らかになる。
主人公たちに女性同士の関係が見えてくる前に男性同士の関係がみえるなど
多様性のある作品だよね。
味方と敵の繋がりが浮き彫りになる。大体良作の師匠は敵絡みだよね!
「時間が解決してくれる」

8話 Another day, another dollar

・真島のカミングアウト=恐怖を覚えた瞬間が忘れられない
・シンジの狙いが引き離すこと=才能は神からの贈り物、届けるもの
敵側の思惑が確定する。組織アランはGiftedに対して投資をする。
これもまたトレンディな話だな、と思う反面、主義が弱く感じたね。

ハロウィンと日本語教室のボランティアで社会に貢献している(深い意味)
こちらの才能もGiftedなはずだけど。
「生活のため」は経理の話に対してだろうかね。

9話 What's done is done

・千束の殺しのこだわり=救世主の意味
・余命宣告
・DAにたきなが帰る
千束の過去が明らかになることで、黒幕との関係が理解できると
別の考えが見えてくる。組織自体はそこまで個別案件に過干渉しないから、
千束にここまで干渉してくるのは、シンジ1人の「愛」の形?
「覆水盆に返らず」

10話 Repay evil with evil

ミカの告白=2人の父親としての約束。
組織として、個人としての父の葛藤に涙したエピソード。
「悪には悪で報いる」

11話 Diamond cut diamond

・たきなが敵の弱点を潰す(起死回生)
・たきなの変化
一転して主人公が戦うために、たきながよく活躍した回。
「毒を持って毒を制す」はGiftedにはGiftedということか。

12話 Nature versus nurture

心臓再発見:生きるための戦い、DAの危機:組織観の保護、
因縁:生きる娯楽としての戦い、この最後の話には、
異なる理由で戦う人たちが、自分らと向き合っていてよかったね。
ミカの決意:過去との離別

「生まれか、育ちか」
この話の最後は(あれ、バットマンとジョーカー意識されてる?)と
思わされましたわ。

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