小説 何もかも憂鬱な夜に

中村文則著

物語は、重く陰鬱とした雰囲気で進められる。
主題は死刑制度、というものだけでなく人の命、悪、といった人間の本質的な問題にまで及ぶ。
著作は作品の中で、いかなる理由であれ人が人を殺すのはよくない、といった簡単な考えではなく人そのものと命とを別に考える必要があるという。
命と罰とを考えた時、作中にもあったがその線引きははっきりとしているのかと問われた時にしていると答えることはできない。
だから死刑は無くすべきだ、という話ではない。被害者遺族や関係者は、加害者がのうのうと生き続けるのに耐えられないだろう。

命や、悪、罪といったことに向き合うことは絶対に必要だがそこに答えはあるのだろうか。そしてそれは人間という存在が答えを出せるのだろうか。

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