癌日記④

メンタル

治療するにあたって私が一番嫌だったのが、治療を完遂できないことでした。そのために出来ることはなんでもやりたい、やらせてくださいと病院にお願いして、さまざまな対策をしてもらいました。その中でやってよかったと思ったのが、精神科の受診でした。私は意外と精神が不安定になったり激しく落ち込んだりすることがなかったのですが、入院中精神科の先生に来てお話を聞いてもらったり、薬を出してもらったりしました。

病に抗ったり怒ったり、もう嫌だと泣くことはやれと言われたらいつでも出来るような精神状態でしたが、私は全て諦めるのが一番手っ取り早くて楽ちんでした。副作用は当然しんどかったですが、逃げ出したくなる自分と戦うのが一番“疲れる”ので。

ただ、私がこうして精神的に大きな揺らぎもなく過ごせたのは家族や夫のお陰だと思っています。

家族は、子供を安全に楽しく夏休みを過ごせるように旅行に連れていってくれたり、写真をこまめに送ってくれたり。子供と会えなくて寂しいとか申し訳ないと思うことはありましたが、心配になることはありませんでした。たくさんの心配と迷惑をかけてしまいましたが、家族みんないつでも快くサポートしてくれました。

治療中から治療後の元気がないときは夫以外の人には会いたくないという私のわがままでほとんど会わなかったので、どんどん病人らしくなっていくさまを夫にだけしか見せず負担は大きかったと思いますし、退院中もほぼ毎日たった数秒で終わる注射を打ちに病院へ行っていましたが文句ひとついいませんでした。次の入院へ向けて体力を付けようとお散歩に付き合ってくれたり、家事の一切を担ってくれて、治療中は包丁は一度も握らなかったし、洗濯機のボタンは一度も押しませんでした。むしろその生活を「2人暮らしみたいで楽しい」とまで言ってくれました。もう二度と体験したくない思い出でもありますが、間違いなく幸せな瞬間もありました。

このように私はとても恵まれていました。そのため、手術や治療に専念して無事終えることができました。私の性格上、自分一人では自分のためにこんなに頑張ることはできなかったと思います。言語化するには到底難しい苦しみの中に、少しでも穏やかな時間があったことは本当に幸いでした。

今現在、頑張っている方も少しでも穏やかに過ごせる時間があるよう祈っています。

次回、再発編

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