【初めてのHRTechConf】 Learning & Development観点で興味深かったサービス3選
HRTechconf 9/24-26@ラスベガスに参戦してきました。人事になった6年前から憧れていたカンファレンスだったので、感無量。初心者の私だからこそ新鮮な目線で語れる5つの観点で、カンファレンスについてまとめています。今回は②のLearning & Development(L&D)について。
①はじめてのHRTechconfでやってよかったこと、無駄だったこと
②タレントデベロップメントの観点で興味深かったサービス三選
③個人的に面白かったトークセッション三選
④サービス別ノベルティの紹介
Life Labs Learning
まず一つ目は、2時間のワークショップとコンテンツ学習を組み合わせたブレンデッドラーニングで有名な、ライフラボラーニング。圧倒的にワークショップが面白く、ファシリテーターの質もとても高い。
初日でJamieのファンになってしまったので、次の日もブースに遊びにいって色々教えてもらった。
学べる内容は、リーダーに必要なソフトスキルが中心。学び方は、法人が導入をし、その組織に合わせたコンテンツを組み合わせカスタマイズしてくれるPrivate Training Programsと、個人が会員登録して自由に受けるセッションを決められるMembershipがある。
プライベートの方は、階層別研修やマネージャー研修で取り入れる会社が多いらしく、会社のメンバーに限定してセッションが行われる。越境的に組織をまたがせることはしてないらしく、それを希望する場合はメンバーシップで登録する必要があるとのこと。
セッションは基本的にオンラインで行われ、数は50くらい。プライベートだと、全セッション受けられてメンバーシップの場合、登録するプランに応じて受けられる範囲が変わるらしい。年間10万円弱くらいから始められるので、社内にL&Dの部門がない組織にとっては、とりあえず導入するのにお手頃なサービスと言えそう。 ただ動画を見るだけのe-learningではないので、視聴率の低さを気にする必要もない。
たとえば、アダプタビリティとレジリエンスのワークショップの内容はこんな感じ。
概要:
2時間のワークショップ
不確実な状況下での冷静さ、明晰さ、適応性を考慮した技術を練習する
ストレス下での安全スタイルの診断と最適化、限られた情報での意思決定、構造化の方法を学ぶ
ワークショップ中の学習内容:
不確実性に対する脳の反応と対処スタイルの探索
ストレス下での自分と同僚のスタイルの分析
不安を軽減する技術の実践
不安を軽減し、戦略的な対応を高めるためのシナリオ計画を学ぶ
複雑な状況での構造化と意思決定の明確化を学ぶ
ワークショップ後の成果:
不確実性と反応の効果的な管理能力の獲得
限られた情報でも自分と他人のためにベストプラクティスを編み出す方法がわかる
個人的な推しポイント
カスタマイズされたアプローチ: 会社で導入する場合、そのニーズと文化に合わせてマネジメント研修をテーラーメイドしています。日本の大手ベンダーの多くは、既存の研修を組み合わせることしかせず、クライアントの文化やニーズに踏み込んだ提案ができない場合も多いので、見習うべきポイントだなと感じました。
行動変化に焦点:単に知識の伝達だけでなく、実際の行動変化を常に意識しています。WS後には、個別コーチングがあり、実践までのラストワンマイルまで伴走するのは頭が下がるなと思いました。
エキスパートによるライブ研修:専門のファシリテーターが指導し、その場でリアルタイムフィードバックを提供します。HRの何かしらの専門性をもった人たちがファシリテーターをしているのも魅力的。HRやODの修士を持っていることはあたり前で、行動変容エキスパートや、心理士などの資格をもった人がごろごろいる。
ピアツーピアの学習の機会:参加者同士の交流の機会が活発にあることで、多様な視点や経験を共有し、学びが深くできます。大人の学びは、一緒に学ぶ人をいかに素材として、お互いに学び合えるかが肝。それをわかった上で、ちゃんとギミックに組み込んでいるのがすごいと思った。Zoeと話していてとても共感したのが「マネージャーは孤独である」ということ。参加者同士が話してみると「私も!」「わかる!」となることが多いらしく、それだけで参加者の肩の荷がかるくなし、前向きになる、と。日本も米国もこの部分は全く変わらないんだと思った。やっぱり、孤独になることが一番いけない!
学習管理のプラットフォーム: プログラム管理を効率化するために、独自のLMSを開発しており、これにより学習体験の質を高め、管理負荷を軽減でる。日本の研修会社は、研修をデリバーするだけで、その管理を怠りがちなので、これも見習いたいポイント。
スキル開発の幅と具体性の高さ:適応性、レジリエンス、不確実性への対応など、現代のビジネス環境で重要なスキルに重点を置いた研修が多く、今日から使えるWSが多いのがとても魅力的だと思った。「マネジメント」「コーチング」とかざっくりした内容ではなくて、それをさらに細分化していることで、どんな場面でどんなスキルを発動したらいいのか、参加者もイメージしやすいだろうなと思った。
LifeLabs総括
サービスがいいのはもちろんなのですが、人が素敵だった。どのブースの人たちよりも気さくで聡明で、自社のサービスを愛しているのが伝わってきた。
人や組織に関わる仕事をする上で「なんかいい」「中の人が好き」と思われることで、実はとても大事なのではないか、と思わされたサービスだった。大好き!ファンです!
「職場が人生で最も役立つスキルを実際に学べるラボだったらどうなるだろう」という疑問から会社が始まったと知り、私の創業理由にも近かったので、親近感も覚えた。
2007年創業と結構長くやっていて、創業CEOはアドバイザーに退いている。上場はしてないし、資金調達もしてないらしい。着実に堅実に伸ばしていているし、創業者は女性とのことで、ベンチマークにしたい会社です。
Crucial Learning
二つ目は、Crucial Learning。LifeLabsと同じく、リーダーシップやコミュニケーションなどソフトスキルのトレーニングプログラムを提供する会社です。
関係性を可視化できるSDIサーベイの存在
LifeLabsと違う点は、Strength Deployment Inventory(SDI)という個人の強みとチームで見た時の偏りを可視化することで、陥りやすい対立やチームとしての強みを理解し活用できるサーベイを独自開発していること。日本でいうところの、FFSにとても似ていますね。
人軸と、成果軸と、プロセス軸で分けてどこにモチベーションを感じるのかでマッピングしているらしい。人・成果の軸といえば、PM理論っぽいですね。
SDI 評価では、通常時のモチベーションだけでなく、プレッシャーの下でそれがどのように変化するかが明らかになります(これもとてもFFSと似てますね、出所は一緒だったりするのかな?)。
このシーケンスを理解することで、衝突スタイルに関する予測ができ、困難な状況をより効果的に乗り越え、チームのダイナミクスを改善し、ストレス下でも生産性を維持するのに役立てることができるそうです。
このサーベイを活用しながら、コミュニケーションや説明責任といったモジュールのセッションを受けることができるのが、Crucial Learningの特徴です。
学習コースは3つ
コミュニケーション、パフォーマンス、リーダーシップの3つにコースが分かれていています。
コミュニケーション:
対話
説明責任
パフォーマンス:
リーダーシップ
影響力
たとえば、対話のコースでは以下のことを学ぶようで、学び方も動画をみる・オンラインで学ぶ・オフラインで同期的に学ぶと方法が選べるとのこと。
個人的な推しポイント
研究ベースのアプローチ: 30年以上にわたる行動科学研究に基づいたメソッドを使用していて、書籍もたくさん出ているのは信頼できるコンテンツだなと感じました。私も本をもらってきたので、よまなければ…!
実践的なスキル開発:理論だけでなく、実際の現場で瞬時に適用できるスキルに焦点を当てているのも、事業に資するHRサービスを目指す私たちにとって、見習うポイントだと思いました。GTDは大学生の時に夫に教えてもらって、仕事する上での超基本になっているし、仕事の成果にも直結する内容なので、こういったコンテンツを持っておくのもベンダーとして強みになるなと感じました。
SDIの存在:ストレングスファインダーやMBTIは個人の特性はわかりますが、仕事をするのはチーム。その関係性と注意点を知り、自己理解と他者理解のサポートができるツールを自社開発している点はとても強いと思いました。日本だとFFSがその役割をになっているので、パートナーにならないといけない気がしていきました。ちなみに私は、ど拡散(自由にできないと死ぬ人)です。FFSについてはこちらをどうぞ!
GOTARA
※なぜか日本からのアクセスが拒否されてしまうので、見たい方はVPN設定をしてからHPにアクセスしてください。
最後は技術系のマネージャーのトレーニングに特化したGOTORA。技術職、特にソフトウェア開発者向けにソフトスキルをトレーニングするサービスです。
立ち上げたのは、機械工学を学んだCOOのDanaと材料系の博士でCEOのD Sangeeta, PhD(写真右)。Sangeetaさんが、初めてマネージャーに昇格したときに頼れる人が周りおらずバーンアウト気味に。その後経営幹部になったときに多様性あるチームを作るためには今の幹部に女性がいるだけでなく、パイプラインの中に女性管理職がもっと必要だと考え、早期のマネージャートレーニングを実現するためにGOTARAを立ち上げたそうです。
他のサービスとの違いは、技術系マネージャーに特化していること。エンジニアや技術系の専門性を持った人は、現場でずっと技術に触れていることに生きがいを感じる人が多く、会社都合でマネージャーに半ばむりやり昇格させされることも少なくない。そんな中で、マネージャーを罰ゲーム化せずに、生き甲斐ある仕事だとおもってもらえるために、そのトランジションを助けるコーチング・チームベースドラーニングを展開している。
中の人もみんな技術系の出身者なので、彼女たちがサポートしてくれることはとても心強いだろうなと感じました。
個人的推しポイント
技術系に特化していること:UnleashUも初期のクライアントさまが小売業や飲食など他店舗系の業態がおおく、彼ら特有の悩みをきくことが多くあります。マネージャー、管理職の中でもさらに業界や性別などに特化したサービスとすることで、他社との差別化を図れそうだなと感じました。
創業者がマイノリティであること:今回カンファレンスに参加してみて、想像以上にアングロサクソン系と表現したらいいのか多様性が低いなと思ったのですが、その中でもGOTARAは創業者がインド系の方ということもあり、メンバーも多様で(性別は女性が多かった)勇気づけられました。もちろん基本はスキルやバイブスの合う合わないで組織は作っていくべきと思いますが、強み弱みを補完し合える鉄壁な組織にするためには、結果多様になっているものなのかなと思ったのでした。
展示会を回ってみての感想
弊社がプロジェクトベースドのリーダートレーニングを提供する会社なので、展示会は特にL&Dを中心に見て回りました。その中でどこも共通していたのは、動画だけみる・研修だけする・レコメンドだけする、といった単一アプローチはすでに脱却していて、全てを組み合わせながら(ブレンデッドラーニング)事業の成果に資するためのトレーニングとして打ち出していることでした。GOTARAはROIの向上と明確に銘打っています。
また、AIを活用しながら利用者・組織のスキルや文化を掴んだ上で、適切なコンテンツをレコメンドするサービスも多数登場しており、ここは日本が大きく差を付けられている分野だと感じました。ただし、技術的に劣っているのかといわれるとそうではなく、どちらかというとスキルや文化を特定するためのデータがない(学習歴を残す習慣がない、レジュメがいまだに紙だったり、一箇所に補完されていない、人事評価がデータ化されていないなど)ことが理由で、HRtechとかに前にDX化が進まないと、どうしようもないといった印象でした。
最大の収穫は、UnleashUに自信がついたこと
今回のカンファレンス参加で最も収穫だったのは、自社のやってることに自信がついたことでした。今まで論文やデスクトップリサーチで海外の情報収集はしていたものの、現地で直接サービス提供者の方々と話して、彼らの目線や実現したい世界を知ることで、「全く知らなかった!」「これは目から鱗だ!」ということがなかったことが、一番の自信に繋がりました。
おいおい、せっかく高い金だしていったんだから、何か新しい情報を….を最初は自分でもおもったのですが、いやこれは自分が間違ってなかったってことじゃないか!?と前向きに思い直しました。
もちろん、まだまだ大きく差をあけられている部分もありますが、人事キャリアを歩み始めてから6年間で学んできたこと、実践してきたこと、そしてこれから作りたい未来は間違ってなかったのだと思えたことが何よりも大きな収穫でした。
UnleashUは、事業の成果と個人の成長を両立する、プロジェクトベースドラーニングを提供しています。個人が変わり、組織が変わり、事業が伸びる。その結果、個人のがんばりにみあった報酬(金銭的・非金銭的)が返ってくる。そんな当たり前だけど、HR領域ではついつい忘れ去られがちな「事業に資する」ということを、大げさではなく愚直に実現するプログラムを提供し続けていきます。そのためには、効率的なインプットを可能にするためにショート動画の活用や、学習を最大化するために個人のスキルや組織の文化を特定できるアセスメントやAIの活用、継続的なピアラーニングでエンゲージメントを成果を上げることなど、今回のカンファレンスで確証をもてたギミックをどんどん取り入れていきたいです。
以上!
以下、追記予定
③個人的に面白かったトークセッション三選
④サービス別ノベルティの紹介
⑤番外編:サンフランシスコにも行ってきたよ
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