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プロフェッショナル・サービス・ファーム

こんにちは、秋山です。
今日は、積読解消シリーズです。

2002年の世界ビジネス思想家トップ40の一人に選ばれたデービット・マイスター氏。彼はハーバードビジネススクールで教鞭をとったのち、コンサルタントに転身。本書はコンサル転身後の10年間で得た「イケてるプロフェッショナル集団を作るための実践的知見」をまとめたものです。

プロフェッショナル・サービス・ファームというのは、専門家集団のこと。本書には、以下のように補足されています。

日本においては、医者や弁護士、会計士、経営コンサルタントなどごく限られた業種においてのみプロフェッショナル・サービスという概念は存在しているが、アメリカでは古くから大規模弁護士事務所や経営コンサルティング・ファームが存在し、その範囲は、会計事務所、アクチュアリー、建築家、コンサルタント、エグゼクティブ・サーチファーム、人材紹介業、法律家、PRファーム、広告会社、エンジニアリング、資産運用機関、投資銀行、不動産業などと多岐にわたっている。

概要サマリー

  • 多くのファームが掲げるミッションは大体共通していて(卓越したサービスでクライアントを満足させること、優秀なメンバーをリテンションするために納得のいくキャリアと職務満足を与えること、自分自身に正統に報いて財務的成功を収めること)これらのバランスをとるために極めて重要なのがジュニア・ミドル・シニアの割合である

  • 利益向上の方策には5つある

    • 価格の引き上げ

    • 変動コストの削減

    • 業績が劣るものへの対処

    • ボリュームの増加

    • オーバーヘッドコストの低減

  • 人材育成には、知識基盤の形成が重要である

    • デブリーフィング

    • キャリア形成の教育


案件ごとに必要な人材ポートフォリオが変動する

プロフェッショナル・ファームの案件は3つに分類できる。
①頭脳型
②経験型
③効率型

それぞれの特色と、必要なポートフォリオは以下の通り。

①頭脳型
「我々は優秀です、なので雇いなさい」型
クライアントの問題は、最先端の専門性・技術的領域の問題か、極めて複雑な問題。この種の案件で鍵となる要素は、創造性・革新性・新しいアプローチ・コンセプト・テクニックを開拓すること。参加する人材には高い専門性が求められる。必然的に、ミドル・シニアの割合が多くなる。

②経験型
「我々はこれを以前やったことがある。この手の問題解決を実際にやったことがある。なので雇いなさい。」となるのがこのパターン。頭脳型にくらべ、革新性や独創性は必要ない。問題とされる事項は、ある程度一般性の高い事柄であり、見通しも立てやすい。ジュニアを当てる機会が生じる。

③効率型
「我々はこれをどうやればうまくいくのか知っているし、どうやれば効率的かも知っている。なので雇いなさい。」
非常に馴染みふかいタイプの問題を取り扱うのがこれ。今でいえばDXとか、人的資本開示とかが該当するだろう。ファームは、業務進行方向・効率化・利便性をうることになる。ファーム内に知見が多いので、ジュニアが最も多く採用される型である。

以上の通り、ファームが扱う案件の種類によって、必要な人材ポートフォリオが大きく変わるのだ。

自分たちが対峙している案件が、どれに当たるのか自覚的になり、必要な人材の確保を先回りできるようにするのがポイントとなる。

サービスのクオリティを上げるために

クライアントの満足度を測るための参考となる質問票が以下の通り。フィードバックを依頼しておきながら、その返事に対して組織的に何も反応しないことは、フィードバックを得ないよりもサービスクオリティの悪化を招くことになるので要注意。

クライアント価値を高める秘訣




新たな案件を得るための効果的な手法


最大の資産「人」を育てる

経験からの学習スピードを早くする

我々が何であるかということは、我々が何を経験したかによって決定される。経験とは我々が何をしたかにより決定され、何をしたかとは、我々が何を愛んがかにより決定され、学んだことは、我々が事象をどう解釈したかによって決定される。

つまり経験学習を早く回せということである。そこで有効なのが、デブリーフィングである(ラップアップミーティング、振り返りと考えればOK)。デブリーフィングには3つのやり方がある。

・一人で振り返る
・チームで振り返る
・クライアントと振り返る

どのやり方であっても、3つの軸に振り返る。
・うまくいった点
・行かなかった点
・その理由

特にクライアントと行うと、完遂に紛れて忘れがちな範疇において、よりうまく行うことができたかもしれない何か、もし次があるとすれば何を行うか、という視点で振り返ると大きな発見がある。


キャリアアダプタビリティをあげるための自分への問いかけ

  • 自分の市場価値が、どうやったら去年より上がるか

  • 新たに獲得・拡張しようとしている特定のスキルは何か

  • 次の3年間の自己のキャリア戦略は何か

  • 近い将来、自分を市場の中で特別な存在にするために何ができるか

  • 何について有名になりたいのか


プロフェッショナル特有の動機づけに気を配る



競合と差別化するための質問

個人的感想

前職は事業会社で、クライアントに伴走しながら問題解決をするという働き方をしたことがなく、新鮮な内容が多く楽しく読めた。特に、クライアントのエンゲージメントを高く維持し続けるために必要なフィードバックサーベイや、プロフェッショナルファームで働く人特有の資質を加味した動機づけは、すぐに実践できそうだと感じた。

マーケティング施策として、独自調査やセミナーが有効というのは、肌感にも合っているし、工数がかかるが費用は掛からなそうなので、弱小ファームでもとっつきやすいのでチャレンジしてみたい。

以上!


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