ワールドブルー清掃員 昔語り
清掃員の朝は早い。
朝一番の社内の冷えた静けさが好きだ。
袖の長めのシャツに風が泳ぐのが好きだが、これから袖をまくって労働だ。
これは私がまだ学生バイトだった頃の話。
とある会社の清掃業務についていた。
早番は6:00出社。社員の出勤が始まるまでに玄関、各フロア、トイレ内の清掃作業を済まさねばならない。
玄関周辺の植え込みも軽く清掃する。
ゆうべ常務が言っていた。
社長の息子が今日からインターンで来ると。
まだ高校生だがコンピューターを使いこなせるらしい。
この会社は全世界の挨拶文を解析し「愛殺文」を抽出するという国家の特命を帯びているそうだ。いいのか私にそんな機密情報を漏らして。
ヘッドホンをつけた若者がやって来る。
制服のブレザーだろうか。
パーカーで着崩してるけど洗練されている。
これが社長の息子か。
「おはようございます」
軽く会釈を返してくれる。
怜悧な瞳に射抜かれた。
この時の私はまだ知らなかった。
この若者がワールドブルーの次期社長として、愛殺文で国家を陰から支える男になろうとは。
数年後、社長が代がわりし、ワールドブルーは湾岸の一等地に新社屋を完成させることになる。
それはまた別の話。
別の話って
#なんのはなしですか
昨日ワールドブルー社の社長直々に、清掃員と食堂のおばちゃんに採用していただきましたので、さっそく業務を開始しました。
社長のこの記事へのオマージュとなっております。
ところで愛殺文ってどんなものなのでしょう。
スパイっぽいですねー。ワクワク。
心のアーニャで読みましたね?
#どうでもいいか
画像は との様 にお借りしました。
それではこれにて!
(ひとりライラン94日め)
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