【洋書多読】the Culture Map(229冊目)
『the Culture Map』はErin Mayerという比較文化研究の専門家の著書で、グローバルなビジネスシーンにおいて問題の原因となりやすい文化的な差異を8つのカテゴリーに分け、それらが実際のコミュニケーションの過程でどのように問題として現れてくるか、その解決方法はなにか?について論じた一冊です。
例えば「ビジネスの意思決定プロセスにおいて合意形成を重視するのか」というスケールでは、スピードを重視する中国や欧米諸国に対して全員の合意形成を重視する日本が対照的な文化的バックグラウンドを有するものとして対比されます。
ここがしっかり理解できていないと、一方は「周りの意見ばかり気にして決断のできない奴らだ」となり、他方は「相談もせずなんでも勝手に決めやがって。まったく独断的なマネージャーだ」となって軋轢が生まれるというわけです。
「ハイコンテクスト(物をはっきり言わない)/ローコンテクスト(しっかりと言語化する)」の文化についても論じられていて、ここでは「KY=Kuki yomenai」(空気読めない)という述語を使って、日本という国がいかに「言外の意味を察する」「ものをはっきり言わない」ということを礼儀正しさの指標としているかといったことが述べられています。
こういう比較文化研究の本は、いわゆるリテラシーのない人が読んでしまうと単に差別や偏見を助長してしまうだけの代物(「だから〇〇人はダメなんだ」みたいな)になりがちなんですが、この本は筆者の実際の経験を裏付ける科学的知見もきちんと述べられていて、トリヴァルな雑学的教養を消費したいだけの向きの人にきちんと本書の趣旨である「グローバルな文脈における異文化理解」を促進しようとする意図がきちんと伝わってくる良書だと思いました。
グローバルなチームを率いておられるマネジメントスタッフはもとより、多国籍チームで働く方、海外のお客さんをもてなす機会のある方にもオススメの一冊だと思いました。
英語も大変読みやすくて、ちゃんと英語を学びたい人におすすめ
洋書多読の文脈でも、『the Culture Map』は大変優れた一冊だと思います。
まず英語が大変カチッとしているので(変な修辞的表現やスラングなどが殆どないので)大変読みやすいです。高校までの基本的な英語をきちんと理解している人には読みすすめるのが楽な一冊だと思います。
使われている単語は難しすぎず易しすぎずといったところで、英検やIELTSのリーディング問題で出題されているようなきちんとした文章という感じがしました。
トピックもいわゆる「比較文化研究」という、(TOEICを除く)英語系資格試験ウケしそうなものです。
これ一冊を読み切ることそのものが最高の英検準一級対策になりそうな、そんな感じのする一冊でした。2023年度第2回試験まで残り3週間足らずという時期ですので、単語学習や過去問と並行して、このレベルの英文を多読しておくことは、難化することが予想される2024年までに英検準一級に合格しておきたい方には非常にパワフルな学習になりうると思っています。
併せて『Factfulness』あたりを原書で多読しておくと英検準一級合格にさらに近づけるんじゃないかと思います。このくらいのレベルの自己啓発系の書籍は、英検準一級などの資格試験対策に大変有効ですね。
そんなわけで『the Culture Map』でした。
本書は『異文化理解力』というタイトルで日本語版も出版されているようです。本書を読んでみて内容がもっと詳しく知りたいと思われた方、ご自身の英語力ではちょっと背伸びしないと原書で読むのは難しいな…という方にはこちらもオススメかと思います(日本語版は読んでないけど)。
本書はグローバルな環境で活躍される方にとってはある意味必読の一冊なんじゃないかなと思いました。
最後になりましたが、本書は現在僕のコーチングを受けてくださっているクライエントさんからご紹介いただいて手に取りました。素晴らしい一冊に出会わせていただいてとても感謝しております。この場を借りて改めてお礼申し上げます。
ありがとうございました!
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