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【洋書多読】The Mindful Leader(206冊目)

マインドフルネスメディテーション関係の洋書『The Mindful Leader』を読了しました。

他の瞑想系の本の著者と違ってこの方の経歴はちょっと異色です。普通、この手の本を書く人というのは瞑想の実践者として生計を立てている人が多いですが、著者のマイケルキャロル氏は完全に俗世の人です。

日本語版の本書のアマゾンの紹介ページに書かれているご本人の経歴がなかなかすごいので引用します。

キャロル,マイケル
シアソン・リーマン/アメリカン・エキスプレス、サイモン&シュスター、ウォルト・ディズニー・カンパニーなどで経営幹部を務める。また、プロクター・アンド・ギャンブル、コムキャスト、ユニリーバ、アストラゼネカなどの会社にてコンサルティングとコーチングを行なう。(以下略)

聞いたことあるグローバル企業ばかりですね。

そんなアメリカの第一線の企業で経営幹部を歴任した方が、従業員の解雇、M&Aなどタフな交渉を必要とされる場面はもとより、日常の仕事の場面においていかに「マインドフルでいること」が大切かということをご自身の経験をもとに書かれているのが本書だっていうんだからたまりません。

キャロル氏のような大企業にお勤めでなかったとしても、日々部下を従えてお仕事をされている方、各種専門職を従えてチームでお仕事をされるお医者さん、弁護士の先生などなど、幅広い方にお読みいただきたいなあと思う内容になっています。

マイケル・キャロル氏が瞑想を始められたのは実に僕が生まれた翌年。もう50年近いキャリアということになりますが、この方、僕が今日本で学んでいるメディテーションスタジオの先生の先生である「David Nichtern」という方の兄弟弟子にあたります。

そのデービット先生が主催されているニューヨークに拠点がある「Dharma Moon」というメディテーションスタジオのHPはこちらです。

そのDavid先生の指導の元、Dharma Moonのメディテーションプログラムを日本向けに紹介して実践してくれているのが「True Nature」というスタジオで、僕が今まさに日々メディテーションを習っているところでもあります。

メディテーション初心者から経験者に至るまで幅広く読める実践的な一冊

本書は、アメリカの生き馬の目を抜くようなビジネスの世界を渡り歩いてきた著者が、日々のタフな仕事の現場でいかに「いま・ここにいる」ことで困難を乗り越え、真のリーダーシップを発揮してきたかがご本人の経験を中心に書かれています。

僕はビジネスの世界には全く縁のない人間ですが、それでも、マインドフルにいることが結果的に人間関係を円滑にし、より豊かな世界を生きる術を与えてくれるんだという本書の中心的な議論には満腔の確信をもって同意することができます(マインドフルじゃない時は大体揉めます)。

僕個人はキャロル氏の瞑想歴の10分の1にも満たない経験しかありませんが、それでも、今の僕の「True Nature」での実践=つまりキャロル氏の兄弟弟子であるDavid Nicktern氏の「Dharma Moon」のメディテーション実践を日々積み重ねていくことで、キャロル氏が本書で描く世界の幾ばくかは垣間見えてくるという実感を持って日々座っているからです。

ビギナーの方には「座り方の基本のキ」を紹介してくれている箇所はとても読み応えがあるでしょうし、ある程度実践を重ねた経験者であればまた違った読み方・響くポイントがある。そう言う意味で、瞑想に興味がある幅広い読者層に訴える力があると思います。

スピリチュアル系の本にありがちなEsotericで修辞的な表現もなく、平易な言葉で実践を交えてわかりやすく書かれているのでとってもためになるし、読みやすいと思います。

ただし英語レベルは…

ただ、だからといって英語の原書が読みやすいかと言われれば残念ながら答えはNOで、英語はそれなりに難しいです。

高校までの英文法が理解できれば読めるとは思いますが、単語が使われている単語がやはりちょっと難しいですし、一文も結構長いので、文の構造を見失いやすいかもしれません。レベル感としては「英検一級の長文問題」レベルの難易度と言えるんじゃないかと思っています。

単語もちょうどそれくらい(英検一級)の難易度のものが頻出です。ですので、本書を原書でスイスイ読める人というのはそのまま英検一級の、少なくともリーディング力はあると言えるでしょう。

ただケルアックだとかなんだとかの難しい文学作品のような読みにくさではないので、特別な教養も必要ないですし(そもそも一般の人に向けて書かれているので)、細かいニュアンスや登場人物の心の襞に迫る…みたいな読み方も必要ないので、そう言う意味ではチャレンジしがいのある英文ということができるでしょう。

もし英語版が難しいなら日本語版をぜひお読みください

そんなわけで『Mindful Leader』のレビューでした。

ご紹介したとおり、英語多読目的とした洋書とは適しているとは言い難い本書ですが、読み物としてのクオリティは非常に高いので、もし興味がお有りの方は日本語バージョンをぜひお読みいただきたいです。

瞑想を初めて4年、True Natureで指導を受けて2年半。まだまだメディテータ−としてはひよっこの僕ですが、それでも、本書に伏流するエッセンスのようなものの幾ばくかはしっかりと感じていますし、ここに書かれていることは決して的はずれなことではない、ということもまた、自信を持って言うことができます。

メディテーションに興味がある方もそうでない方も、難しい英語を習得したいと思っていることもそうでない方も、ぜひ手に取ってみてください!

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