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【洋書多読】Four Thousand Weeks(259冊目)

オリバー・バークマンによる世界的ベストセラー『Four Thousand Weeks』を読了しました。

『Four Thousand Weeks』は、時間管理と生き方に関する洞察を提供する本です。著者は、現代社会における「効率性」や「生産性」の追求が、実際には私たちを幸せに導かないと論じます。

むしろ、限られた時間を意識し、人生の優先事項を見極めることが重要だと主張します。

本書は、私たちが一生で過ごせる時間が実は非常に限られていることを認識することから出発します。人間が使える時間は平均して約4,000週間程度しかなく、その貴重な時間をどのように使うかが問われるべきだと述べます。4000週間、意外と短いですよね。

著者は「時間管理術」というよりも、「時間との関係性の再構築」を提案します。ここが本書が、他の一般的な「タイムマネジメント術」に関する実用書と明らかに一線を画する部分です。例えば、すべての仕事を完璧にこなそうとするのではなく、自分にとって本当に意味のあることに集中することが必要だと指摘します。

また、著者は「生産性」という幻想に振り回される現代人に対して、無限のタスクや期待に応えようとするのではなく、むしろ限られた時間の中で何を諦め、何を受け入れるかを見極めることの重要性を強調します。

さらに、未来を完全にコントロールしようとするのではなく、偶然や不確実性を受け入れ、予測不可能な要素を楽しむ姿勢が求められるとも述べています。

この辺りはむしろ哲学的なフレーバーすら感じさせる部分でした。とても読み応えがあります。焦らず、完璧を求めずに、今この瞬間を大切にすることが大切だというメッセージ。これが、おそらくは著者が一番伝えたかったことであり、NYタイムズをはじめ世界中の書評こぞって本書を賞賛している理由でもあるのでしょう。

英語はちょっと癖があって読みづらいかも

本書の英語は難解というものではないですが、ちょっと持って回った言い回しとか、イギリス人特有のユーモアなどがあって、慣れていないと若干読みづらさを感じるかもしれません。

基本的に使われている英文法はシンプルなので、慣れれば大丈夫だとは思います。本書が取り扱う哲学的な主題に関する論考や、実際に哲学者などを引用している箇所などの英語はそれなりに難しいです。読んでいて、実に英検一級のリーディング問題に使われているエッセイのような、そんな印象を受けました。

内容に対する理解と関心があって、英語力がそれなりにある洋書を読み慣れた方が対象という感じがします。これくらいの洋書を読みこなせると、英語で見える視界がずいぶん伸びやかなものになる。そんな印象です。


そんなわけで『Four Thousand Weeks』でした。

内容は決して一般受けするものではないのかもしれないですが、多くの人にお勧めしたい、読んでいただきたいと思う一冊です。難しければ日本語訳で。とてもこなれたいい日本語訳版があります。僕もあまりに難しい箇所などは、購入した日本語訳版の助けを借りながら読みました。

逆にそれくらいしても読みたかった、そんな一冊でした。おそらく、この本はたくさんの人に響くものだと思います。だからこそ、世界中で売れているんだと思います。

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