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【洋書多読】Holes(再読)

Louis Sacharの名作児童書『Holes』を再読、読了しました。

「Holes」は、孤立した状況下での人間の成長と友情を描いた作品です。

主人公のスタンリー・イェルナッツは、冤罪でキャンプ・グリーン・レイクという少年矯正施設に送られます。そこで彼は、毎日1つずつ穴を掘るという過酷な労働に従事させられます。

スタンリーは、施設の仲間たちとの絆を深めながら、なぜ穴を掘る必要があるのかという疑問を抱きます。やがて、掘る行為が単なる罰ではないことを知ります。

スタンリーの家系にはある呪いがかかっていると言われていて、物語はスタンリーの祖先とその呪いの歴史にも触れます。彼は、同じく施設にいるゼロという少年と協力し、運命を変える冒険に挑みます。

この物語は、困難な状況でも諦めず、友情と勇気を持って立ち向かうことの大切さを教えてくれます。スタンリーの成長と友情の物語が、私たちに感動と希望を与えてくれる、そんな作品です。

英検一級と『Holes』

僕の英語力の伸びは『Holes』とともにありました。

正直なお話をしますが、この記事を書いている僕が2019年11月英検一級に一発合格した後最初に読んだ多読洋書が『Holes』で、当時は正直ほとんど意味がわからず楽しめなかったことを今でもよく覚えています。
確かマニラのニノイアキノ国際空港で、セブ島へのトランジットのための便を待っているときでした。

『Holes』はその年の最も優れた「児童書」に与えられるNewbery賞を受賞していることからも明らかなように、紛れもなく児童向けに書かれた一冊です。

が、当時英検一級取り立てほやほやの僕は本書を楽しんで読むことができませんでした。理解度も50%程度だったと思います。

単語、表現、文章の難易度…、どれを取ってみてもそれなりに難解に感じ、これだけ評価の高い児童書にも関わらず、何が面白いのか全く意味がわからないと思ったのをよく覚えています。少年たちが少年矯正施設で穴を掘って、主人公のご先祖様が出てきて、で?という感じです。

それ以降ずっと本書が気になり続けていて、折に触れて何度か再読を試みました。そして再読するたびに、少しずつ物語のプロットや妙味が理解できるようになっていきました。

英検一級合格後も回し続けている(5年近く経った2024年6月現在も、です)『出る順パス単英検一級(4訂版)』のおかげで今はさくさく読み進められます。

少なくともTOEICにおいて「リーディングセクションを最後まで読めないことはない」くらいまでimproveした(リーディングセクションのベストスコアは460点止まりですが)速読力・読解力の助けもあって、今回はとても楽しく読めました。

おそらくこれが4回目の再読になると思いますが、今回はこの物語のページターナーであることや、Louis Sachar作品の真髄のようなものに初めて触れられた気がした、そんなふうに思っています。

手に取らないのはあまりにも勿体無い

そんなわけで『Holes』でした。

本書は、前回ご紹介させていただいた『Giver』でルイス・ローリーが描き出した深淵な世界観とは対照的な、勧善懲悪の単純明快な物語です。「Louis Sacharらしい作品」と言ってもいいでしょう。

サッカーの凄いところは、そんなある意味「ベタでわかりやすい」お話しに絶妙な深さや豊かさを与えるところです。

「サッカー節」とでも名付けたくなるような無駄な修辞のない、かといって冷淡というでもない独特の文体。緩急自在のストーリーテリング。独自の世界観を築き上げてきたLouis Sacharの、児童文学作家としての才能が遺憾なく発揮されているのがこの『Holes」だといえるでしょう。

「子供が読む本である」と言ってしまえばそれまでです。でも、子供が読むものだからと言って手に取らないのはあまりにも勿体無い。そんな気がするのもまた『Holes』です。

けれど、シンプルに「英語力」によって読み手を選ぶのもまた『Holes』です。だから私たち日本人英語学習者は、「いつかHolesを原文で読めるようになりたい」という目標を掲げて英語学習に励んでもいい。それくらいの価値がある一冊が、このLouis Sacharという作家の『Holes』です。

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