【洋書多読】Wonder(再読)
英語多読のバイブル的存在の一冊、R・Jパラジオの『Wonder」を再読しました。
「多読をしたいんですけど、何を読めばいいですか?」というこれまで何百回何千回と受けてきた質問に対してまず真っ先に思いつく一冊が本書です。
今回が(おそらく)4度目の再読になると思いますが、毎回新しい発見がある『Wonder』。多読歴6年の僕が今回の再読で感じたのは「こりゃあ英語学習に最適だな」という事実を再確認できた、ということでした。
ネイティブのナチュラルな日常会話表現に溢れた一冊
英単語が比較的容易で辞書をそんなに使わなくても読み進められる、多くの英語学習者にとって適切なレベル感であること。
物語が秀逸で、思わず涙してしまうようなストーリー展開。
などなど、多読教材としての『Wonder』を語るときの賛辞はつきませんが、何より本書を本書を多読用洋書の金字塔たらしめているのは間違いなく「会話表現の豊かさ」に他ならないと思います。
第二外国語を習得するにあたって有効な学習法は「子供が読むような本を読む」ことです。その国の国語を学ぶのに適した表現がたくさんあってかつ難しすぎない、というのがその理由です。
先日、アメリカから日本に来ている宣教師のカップルと話す機会があって、日本人におすすめの英語学習法って何?と聞いてみたところ、やっぱり彼らも「英語の児童書をたくさん読んで、子供向けの動画をたくさんみて、そこから少しずつ表現を学んでいってレベルアップしていくことだね」と言っていました。
本当にこのnoteで何度もお伝えしているように、第二外国語習得の一丁目一番地は「多読・多聴」である、というのは欧米人をはじめ、ほぼ全ての先進国の学習者にとってはとても自然なことなんだそうです。
『Wonder』には、本当に外国人がナチュラルに使いそうな表現が満載です。しかも小説なので全然わざとらしくない文脈で使われています。加えてお話が断然面白く、最後には涙してしまうようなエンディングが待っている。
英検2級、TOEIC600点を超えたらみんな一度は手に取ってみてほしい。本書はそんな一冊です。
『Wonder』ってどんなお話?
『Wonder』は「トリーチャーコリンズ症候群」という難病により顔の形が大きく異なる少年、オーガスト(オギー)・プルマン君の物語です。
オギーは実に27回もの顔の整形手術を受けた後、初めて普通の学校に通うことになります。入学後、彼はクラスメートからの好奇の目やいじめに直面しますが、友人のサマーやジャックの助けを得て徐々に学校生活に適応していきます。
物語は、オギー自身だけでなく、彼を取り巻く家族や友人たちの視点からも描かれます。これが単調になりがちな日記調の文体である本作にいい感じのリズム感を与えてくれて、長編であるにも関わらず、さくさく読めてしまう理由の一つとなっています。
家族の支えや友情の力が、オギーにとって大きな励みとなり、彼の勇気を引来だして彼を数々の困難に立ち向かわせてくれますが、同時に登場人物たちもまた、オギーとの交流を通じて、人間の価値は外見ではなく内面にあることを学びます (Wikipedia)。
『Wonder』は、他者と向き合うことの難しさと大切さを教えてくれ、心の目で見ることの重要性を強調しています。外見の違いにとらわれず、人の本質を理解することの大切さが描かれており、私たち読み手に深い感動を与えてくれる、そんな一冊です。
というわけで「いいから黙って読んで」ほしい一冊です
そんなわけで『Wonder』でした。
本書には素晴らしい日本語訳バージョンである『ワンダー 君は太陽』もありますが、ここまで読みやすい英語で書かれている原書があるのですから、英語学習者ならぜひ英語版を手に取ってみていただきたいところです。
書店で実際に本書をご覧いただくとわかりますが、結構な分厚さの一冊です。この分量の英文を読むことは、日本に住む多くの英語学習者のほとんどが経験していないことです。具体的には本書の7万語以上という語数は、日本人の高校生が「3年間で」読む英語の分量に匹敵します。
それくらいの分量の英文を大量に読む習慣が身に付いたなら。その文章のレベル如何に関わらず、私たちの英語力はかなり高いところにまで到達するということは、まさに今、本書を読んでそのレビューを書いている僕自身がとみに感じているところです(2024年5月現在、英検一級・TOEIC935点です)。
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