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【洋書多読】Life on the Refrigerator Door(再読)

『Life on the Refrigerator Door』を再読・読了しました。

『Life on the Refrigerator Door』は、母娘の関係を描いた小説です。物語は、母親と娘が冷蔵庫のドアに貼り付けるメモを通じて展開されます。

母親は忙しいシングルマザーで、娘のクレアは十代の高校生です。二人はそれぞれの生活に追われて、直接対話する時間があまりありません。そのため、冷蔵庫のドアが彼女たちの主なコミュニケーション手段となります。

まだスマホやケータイのメールなんかがない時代はこんなふうにして家族間でメッセージのやりとりしてましたよね。

物語は、日常のちょっとしたやり取りや予定の確認、時には心の内を明かす内容まで、様々なメモで構成されています。しかし、ある日を境に二人の関係に大きな変化が訪れます。

ここから、これまで淡々と進んできた物語は一気に急展開を始めます。母ー娘の関係も同様に変化し始め、クレアは母親の愛情を再認識し、母親も娘への思いを深めます。

『Life on the Refrigerator Door』は、限られたコミュニケーションの中で家族の絆を描き出すとともに、愛や喪失、成長といったテーマを浮き彫りにします。母と娘の関係の深さと、日常の中にある小さなやり取りの大切さを感動的に描いた作品です。

難しい単語は(ほぼ)出現しない。だからこそ難しいし勉強になる

冷蔵庫に貼られたメモを通じた母と子のやりとりを垣間見る本書。メモに書かれている英語ですので、基本的にファンシーな単語は登場しません。極めて普通の口語です。

だからこそ、本書は難しいとも言えるでしょう。ネイティブスピーカーというのは私たちが中学校3年生くらいまでで習うごく簡単な単語を組み合わせて複雑なニュアンスを表現しますが、私たち日本人英語学習者は難単語の習得にフォーカスしがちで、平易な単語で構成される句動詞や熟語の類にあまり注意を払わないからです。

しかし、英語を実用レベルにブラッシュアップして会話に適用していきたいなら、これらの口語表現の習得は避けて通ることはできません。『Life on the Refrigerator Door』は、そんなナチュラルなネイティブの英語表現に触れることのできる、とても優れた多読向け洋書と言えるでしょう。

プロットもとても秀逸です。特に中盤から後半にかけて、ある事実が暴露された後の展開やそれに伴う母子の関係性の変化は読ませるところで、ちょっと児童書の枠組みを超えているとさえ言えると思います。

ここを読んで涙しない人はいないんじゃないだろうか?そんな気さえする、とても優れた物語です。

コロナ禍の日本で見つけた素敵な一冊

僕が本書を知ったのは、コロナ禍でフィリピン・セブ島からの帰国を余儀なくされた2020年3月。故郷の大阪にある某大型書店に面陳されていたのをみたのがきっかけです。

なんでも本書はその書店の書店員が発掘したらしいことが同書に添えられていたポップに書かれていて、「へー」と思いながら手にとったのを覚えています。

そして当時の僕はすでにして英検一級に合格していたにもかかわらず、本書を味わって読むことができませんでした。理由は上述の通り、簡単な単語を使って表現される複雑な表現に慣れていなかったためです。

弁慶の泣き所ならぬ、英検一級ホルダーの泣きどころといったら、結構ドキッとされる一級合格者も多くいらっしゃるんじゃないでしょうか?

あれから4年が過ぎ、2018年以降毎日欠かさず続けてきた多読のおかげで、今の僕は筑肥線の車内で読みながら思わず涙をこぼしそうになってしまうくらいにこの本をしっかりと味わうことができるようになりました。

英語学習歴が長くなり、それなりに読める・聞ける(話せる)英語が増えてくると、なかなか自分の英語力の伸び、というのを感じづらくなってきます。そしてこれがまさに、英語学習を続けることの大きな障壁になってくる、というのもまたよく知られているところです。

だからこそ、この時期に『Life on the Refrigerator Door』を通じて継続学習の成果というモチベーションを得られたことの意味はとても大きいと思っています。

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