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【洋書多読】Beezus and Ramona(166冊目)

『Beezus and Ramona』を読了しました(3月19日)!


本書を手にとったきっかけは矢月さん(@yazuki_tw)の多読サイトで本書が紹介されていたのと、今お世話になっている福岡のお友達んちのお嬢ちゃん(小4・英語ペラペラ)が、学校で教わっているイギリス人の先生に勧められたらしいという情報を聴いたから。

ネイティブが日本人の英語ペラペラ小学生に、教育的薫陶を兼ねて読ませようとする本書がどんなものなのか、気になって仕方なくなった僕は、すぐさまAmazonで購入して読み始めることにしたのでした。

YLレベル:4.0くらい。とても読みやすいです目指せこの辺!

本書は、日本で多読を英語学習に取り入れておられる方にとりあえずは目指して欲しい「YLレベル4.0」くらいの難易度、という感じでした。

これくらいの児童書がスルスルと読めるようになれば、多分TOEIC800点台は固いと思います。語彙もそれなりに難しいですし。英検なら、準一級(一次)にちょっと余裕を持って合格できるくらいかな、と。

マクミランリーダーズだとLevel 5あたり、ペンギンリーダーズならレベル4〜5くらいかなぁと思います。

このくらいまで来ると、英語で自分の考えていることは伝えられるレベルですが、一方で「もっとこなれた言い方でいいたい!」とか「もうちょっとスムーズに英語が口をついて出てくれれば!」くらいの英語力になっているとおもわれ、自分の中ではまだまだと思ってるけど、周囲からは「英語ができる人」って思われているっていう状態になるんじゃないかな?とおもいます。

さすがネイティブイギリス人の教育者が勧める内容だった

本書は児童書によくあるたぐいの「しっかり者のお姉ちゃん(お兄ちゃん)と手に負えない妹(弟)のドタバタ劇です。

が、この手の本って、最後ほっこりさせてくれたり、ちょっとうるっとさせてくれたりするので、どんな人にも安心しておすすめできます。

似たようなお話、レベル感ですぐ思いつくのは『Tales of a Fourth Grade Nothing』です。

が、個人的には今回読んだ『Beezus and Ramona』の方が好きです。

『Fudge…』は、どちらかと言うとハチャメチャな弟(ボキャブラリー…)がおもろい!みたいな感じだと思うけど、『Beezus and Ramona』の方は、『Fudge…』と比べて姉・妹ともそれなりに大きいので、倫理的・道徳的な点から妹との関係に悩む乙女Beezusの思考がなんだか健気でいじらしくて、結構泣けます。

なるほど、イギリス人ネイティブの教師が勧めるわけだ。読んでみて納得しました。単に英語的なもののみを期待して読ませているわけではない、というわけです。

「なんでBeezusはあの時ママにこう言わずにああいったのか?」みたいな読後のブックトークも、小学校高学年の児童にはとっても盛り上がりそうです。

気になった表現集

いつもやっている「気になった表現集のまとめ」今回もいってみたいと思います。

これからこのレベルの洋書・児童書にチャレンジして行きたい!という方には大変有益な情報になると思うので、是非目を通してみてください。

1.what was the use (of)…

「なんの役に立つのか?」Romanaが自分の前をでたらめに綴るのをみたBeezus(姉)が、正しいスペルを教えようとして自問自答する場面で登場しました。

2.think better of〜

これもRomanaに対してBeezusが「〜したほうが良いな」と自分に言い聞かせる場面で登場した表現です。そのまま妹をそっと放おっておく姉と、ソファで静かにしている妹、の構図です。

3.…and gave Romana two graham crackers to make up for the indignity of having her hair washed.

さて、これはイディオムとかではなくて、「こういうのがYLレベル4.0だなぁ」つまり「英語中級→上級に移行しようとされる方がつまづきそうなエッセンスが満載だなあ」と思う箇所です。

以下に、そのよって来るところをちょっと詳しめに解説してみます。

ちなみに、もちろん読む時は下のようなことを意識して読んでいるわけではありません。説明の都合上便宜的にこう書いているだけなので、実際は英文を読みながら意味をとっています(当たり前か)

【1】
まず、indignityという単語がちょっと難しいでしょうか。
これは「侮蔑・冷遇・無礼」みたいな意味ですが、英語を読み慣れている人は「dignity(尊厳)」という単語に否定の接頭辞「in」がついているとすぐ見抜くので、尊厳があるとか尊敬されるとかの反対の意味だろう…と推測します。
ちなみに「dignity」自体はそんなに難単語ではありません。

【2】
多読に慣れていないと「graham」を辞書で引きたくなってしまそうです。
が、これは第4文型をとる動詞giveの間接目的語の部分がtwo〜から始まっているので「2つのsomething(何か)をRomanaにあげた」という文章だな、ということが瞬時にわかります。
そうなると、すぐ後ろにto make upという「不定詞」が見えているので「two graham cracker」をあげたんだ、ということが確定します。
grahamは辞書をひくと「グラハム粉で作った,ふすま入りの」とありますが、僕はすぐ「たぶんグラハムクラッカーなるものがイギリス文化圏には存在するんだろうな、そしてそれは多分、食べ物か何かだろう(クラッカーって書いてるし)」ということがすぐに推測できます。

ついでに言うと、この「graham cracker」は「Graham Cracker」と大文字になっていないので、なにか特定の商品名(固有名詞)なのでなく、一般名詞なのだな、ということが分かります。
そして、今度外国に行ったときはこれを買ってみよう…となり、だんだんワクワクしてくる。というプロセスをたどって「やっぱり多読はおもろいなぁ」となります。
もちろん、「グラハムクラッカー」なるものが既知の語彙として登録されている方にとっては、この思考プロセスはスキップされることでしょう。

【3】
make up for=「埋め合わせをする」というテストに頻出の句動詞です。こういうの、お勉強っぽいですが、さすがにmake up forくらいは覚えておかないと…という感じです。ちなみに多読をしてれば嫌でも覚えてしまうと思います。
先に解説した「indignity」をメイク・アップ・フォーする、と続いているので、ここまでで、クラッカー2枚でなにかの埋め合わせ・償いをしようとしているのだな…ということが分かります。
で、それでもうOKです。まかり間違ってもちゃんとした日本語に訳そうとして「ええと、その尊厳を埋め合わせをするために、母は彼女に2枚の、えーと…グラハムクラッカーを…あたえ、る。た?」とかやり始めてはだめです(みんなやりたがるけど)。
そういうのやらずに英文がスルスル頭に入ってくるようになるのが、多読の素敵なところです。

【4】
最後の難関はhaving her hair washed.です。
これはTOEICの指導をさせていただいていると、大体700点台から800点台でスコアが伸び悩んでいる方が必ず引っかかっているところです。多分出題者からしたらテッパンというか「これ出題しとけば中級者は必ず引っかかってくれる」って思っているやつだと思います。
文法的には第5文型SVOCの「O=Cが受動態の関係になっている(故に過去分詞washedが使われている)」という高校英文法です(O=C能動関係の英文は中3で習います)。
ピンとこない方は「私は昨日電車で財布を盗まれた」という日本語を英訳してみてください。YL4.0以上がよめるTOEIC800点台後半から900点の人は使役動詞have(got)を使って「I had(got) my wallet stolen on the train.」とぱっとできると思いますが、ここでつまずく方というのは十中八九シンプルな中学英語の受動態を使って「I was stolen my wallet on the train.」ってやっちゃうと思います。
I was stolen〜て言っちゃったら、盗まれたのは「私」になってしまいます。カリオストロの城かよ…と。
ここらへんの苦手を一個一個潰していくのがコーチングやってておもろいなぁと思うところです。
もちろん、「I was stolen my wallet on the train.」すら思い浮かばない…という方も、丁寧に指導させてもらっています。

あと、havingがofの後ろに続く動名詞なので、having her hair washedという句全体が名詞として機能していることが分かります。嫌ですけどあえて日本語に訳すなら「(母がRamonaの)髪を洗ったこと」ですね。

4.by hook or by crook

これは「どんな手段を使ってでも」という意味になるようです。

ネットで調べてみたことろ、Wikipediaに乗っていて、この熟語の起源ってよくわかっていないようなんですが、クロムウェルの時代まで遡る説があるらしく、深いなぁ…と思ってしまいました。イギリス英語の表現なんでしょうね(アメリカ英語でも使うかどうかは不明)。

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この『Reezus and Ramona』シリーズ、全4巻あるようですが、良書でした。

ネイティブが勧める、というのもなんだかちょっとしたお墨付きのような感じで、いいですね。

ぜひ、沢山の人に読んでいただきたいと思いました!

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