袴田事件 きょう再審初公判「5点の衣類」が争点 検察 主張蒸し返し〜すべてがNになる〜

2023年10月27日【社会】

 1966年に静岡市で起きた強盗殺人事件で死刑が確定した袴田巌さん(87)の裁判のやり直し再審の初公判が27日、静岡地裁(國井恒志裁判長)であります。早期の無罪判決を目指す弁護団に対し、検察はこれまでの主張を蒸し返しています。

 地裁は公判を12回開き、来年3月中に結審する意向を示しています。他方、検察は袴田さんの「有罪」を立証するために証人を多数申請しています。証人の採否によっては予定内で結審できるかは不透明な状況です。判決は来年4月以降になる見通しです。

 戦後の裁判史上、死刑が確定しながら再審となるのは、袴田さんで5例目です。過去の4例はいずれも80年代に再審公判があり、いずれも無罪となっています。再審初公判は87年10月に静岡地裁の島田事件であって以来、36年ぶり。袴田事件は無罪判決の公算が大きいとみられています。

 袴田さんは81年に再審を請求してから42年かけて、ようやく再審にこぎつけました。2014年に静岡地裁、今年3月に東京高裁が再審開始を決定しました。どちらの決定も、捜査機関による証拠捏造(ねつぞう)の可能性があると指摘しています。

 再審公判での争点は、裁判所から2度も捏造が疑われている「5点の衣類」です。検察は「犯行着衣であり袴田さんのもの」と主張。再審開始を決定づけたみそ漬けされた衣類に残った血痕の赤みやDNA型鑑定について、反論をするとみられます。

 しかし、DNA鑑定では、「5点の衣類」から袴田さんや被害者のDNA型が検出されませんでした。また「5点の衣類」には、着装実験で袴田さんがはいてみたら、サイズが小さいためはけないズボンも含まれます。

 弁護側は「検察の主張は再審請求審での主張の蒸し返しだ」などと反論しています。

 検察が1人の国民の人生を考えて動いてくれるようになればいいのですが。

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