半導体・EV大企業優遇与党税制大綱 法人税10年間減税〜すべてがNになる〜


2023年12月16日【経済】

 「政治とカネ」の闇に覆われた自民に加え、公明の与党は14日、半導体、電気自動車(EV)などの大企業の法人税に10年間にわたり最大20~40%の減税を行う2024年度の「税制改正大綱」を決めました。

大企業誘致狙う

 今回の大綱では新しく生産量や販売量に応じて法人税を減らす「戦略分野国内生産促進税制」を設けます。支援対象は、半導体やEV・蓄電池などの分野です(表)。減税期間は計画認定から10年間。引き下げ額は年度ごとに半導体は法人税の最大20%、半導体以外は同40%と大盤振る舞いです。赤字の決算期に使えなかった税優遇を繰り越す制度も設けます。半導体は3年間、半導体以外の製品は4年間です。
 また特許などの知的財産から得られる所得に関する優遇税制の「イノベーションボックス税制」も盛り込みました。24年4月以降に取得する特許権やAI(人工知能)関連プログラムの著作権について譲渡所得と、ライセンス所得の30%について7年間、課税所得から差し引きます(図)。大企業による研究開発拠点の誘致を狙っています。

財界要望丸のみ

 24年度に向けての税制提言で経団連は、「戦略的に重要な物資の国内生産等に対する投資を促進するための新たな税制措置」「イノベーションボックス税制」の創設を求めていました。与党税制大綱は、財界要望を丸のみしたものです。与党の「税制改正大綱」について、経団連など財界3団体は歓迎するコメントを発表。イノベーションボックス制度の創設について十倉雅和経団連会長は「経団連が長年要望してきた税制措置」と述べています。
 政府はすでに補助金で、半導体、蓄電池の特定大企業に巨額の税金投入を決めています。
 半導体では、ラピダスに最大3300億円を支援決定。台湾積体電路製造(TSMC)の熊本第1工場に同4760億円、米マイクロン・テクノロジーの広島工場に同2385億円、キオクシアの三重県四日市工場に同929億円を補助します。
 EV・蓄電池では、トヨタ自動車のEV用リチウムイオン畜電池の開発・生産計画に1179億円を拠出。ホンダとGSユアサの電池新工場には1587億円を助成します。
 特定産業への破格の補助金に加え、大幅な法人税減税の実施という大企業優遇政策の一方、国民が強く望む消費減税には背を向けています。これが、大企業・団体献金、さらにはパーティー券の裏金にまみれた自民党政権の税財政政策の実態です。(日隈広志)

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