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ガザ攻撃後 死者200人超ヨルダン川西岸 ユダヤ人入植者の暴力激化〜すべてがNになる〜

                       
                         2023年11月19日【国際】

【カイロ=秋山豊】イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザへのジェノサイド(集団殺害)ともいうべき大規模攻撃を行っているなか、ヨルダン川西岸でもユダヤ人入植者やイスラエル兵によるパレスチナ人への暴力が増加しています。
 パレスチナ通信によると17日、西岸のジェニン難民キャンプへの空爆で3人が死亡、ヘブロンの検問所での銃撃で2人が射殺されました。10月7日にイスラム組織ハマスの襲撃とイスラエルの報復攻撃が始まって以来、西岸でのパレスチナ人の死者は200人を超えました。
 西岸北部ナブルスにある村に住むアブデル・アズィム・ワディさん(50)は、10月12日に兄とその息子(25)を入植者に殺されました。
 ワディさんは本紙の電話取材に、「入植者は私たちをテロリストとののしり、パレスチナ人を殺せて満足だとSNSに投稿した。入植者の暴力こそテロだ」と語りました。
 11日、村ではイスラエル兵に守られた入植者による襲撃で、4人が射殺されました。翌日、4人の遺体を救急車で病院から墓地へと運んでいた際に、入植者が乗った車が救急車の横に来て発砲。乗っていた兄とその息子は即死でした。
 兄はパレスチナ自治政府の経済省に勤務。兄の息子と婚約者は、今月、オリーブの収穫が終わった後で結婚する予定でした。
 入植者の襲撃で、住民が強制退去させられた村も多く、入植者によるオリーブ畑の破壊やオリーブの窃盗も増えています。
 ワディさんは「私たちの生きる道は、イスラエルによる占領からパレスチナを解放して勝利をつかむか、この地で殺されるかだ」と話しました。
 10月7日の以前にも、入植者らの襲撃による死者は今年に入って過去最多の199人(国連発表)。これは、昨年12月に、極右政党が参加したイスラエルで最も右翼的な政権が発足したことが背景にあります。
 極右政党出身のベングビール国家治安相は6月にこう発言していました。
 「(ヨルダン川西岸に)入植すると同時に軍事作戦を進め、建物を爆破し、テロリストを殺害しなければならない。1人や2人ではない、数十、数百、必要なら数千人をだ」
 ベングビール氏は、ハマスの襲撃事件後、入植者を含む民間人に1万丁の銃を配布すると約束し、配布を始めています。


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