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「地球のエアコン」今世紀中に停止も温暖化が海流に影響〜すべてがNになる〜

                         2023年7月26日【社会】

 「地球のエアコン」ともいわれる大西洋南北熱塩循環(AMOC)が、地球温暖化の影響で今世紀半ばにも停止する可能性があると、デンマーク・コペンハーゲン大学の研究チームが25日付の科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』に発表しました。
 AMOCは、北大西洋の表層を北上し、熱帯の熱をヨーロッパなどへ運んでいます。グリーンランド付近では海水が凍って氷ができるときに生成する、塩分が濃く冷たい海水が深海へ沈むことが原動力となって地球規模の海水の流れを引き起こしています。沈んだ海水は大西洋の深海を南下し、南極周辺で沈み込んだものと一緒に太平洋などの深海を北上します。(図)
 ヨーロッパや北米など北大西洋の沿岸だけでなく、地球全体の気候を緩和する働きがあります。
 最終氷期末期に北米大陸を覆っていた巨大な氷の融解水が一気に大西洋に流入してAMOCが停止。1万2000年前ごろ、ヨーロッパや北米が寒冷化する現象が起きたことが知られています。
 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の評価では、今世紀中に停止する可能性は低いとされています。しかし、地球温暖化に伴ってAMOCが弱まっていると指摘する研究結果が報告されるなど、今後の動向が懸念されています。
 研究グループは、1870年から2020年までの北大西洋の海面温度の推移と、今後の温室効果ガスの排出シナリオを組み合わせて、AMOCが今後どうなるか予測しました。その結果、AMOCは早ければ2025年、遅くとも2095年には停止する可能性があるという結論が得られました。

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